- 著者
-
神山 進
枡田 庸
- 出版者
- 一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
- 雑誌
- 繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.11, pp.539-548, 1990
本研究では, 容姿をメディアにした情報伝達内容の測定が問題にされた.特に, (1) 服装メッセージ評定尺度を開発すること, (2) それを使って, 服装に関する「肌の露出度」のメッセージを測定すること, (3) そのような「肌の露出度」の解釈に対する社会的態度の影響を検討すること, が本研究の目的であった.<BR>得られた結果は, 次のように要約できる.<BR>1) 75項目より構成される, 服装メッセージ評定尺度を開発することができた.<BR>2) 袖の有無・ドレス丈の長短などから表示される「肌の露出度」が, それの大小に関して異なった情報を伝える事実が確認され, またそれらを測定することができた.<BR>3) 肌の露出度が顕著に伝える情報内容は, 「新しいものが好きである」, 「流行に敏感である」, 「冒険心がある」, 「刺激を求あている」, 「ロック音楽を好む」, 「遊びにいくところである」, 「目立ちたがり屋である」, 「派手な人である」, 「挑発的である」, などであった.<BR>4) 肌の露出度が伝える情報に関して, 4つの成分が明らかになった.すなわち, 「お酒落/流行感覚」, 「品位/社会良識」, 「仕事への従事/地位の高さ」, 「活発さ/元気さ」, である.<BR>5) 保守主義的態度の持主は, 服装上の肌の露出度に基づいて, 着装者の「仕事への従事/地位の高さ」を解釈する度合が一層顕著であった.<BR>6) 「品位/社会良識」と「活発さ/元気さ」には, 刺激図版による解釈のされ方の相違が顕著に表わされた.すなわち, 特にミニ・スカート・スタイルのSPは, 一層お酒落で流行感覚に富み, また活発で元気だと解釈されたのに対して, 前V開き大の服装スタイルのSPは, 一層品位がなく, 社会良識に乏しいと解釈された.<BR>7) 「仕事への従事/地位の高さ」についても, 図版によって解釈のされ方に相違が認められ, 特にパンツ・スタイルのSPは, 一層仕事に従事していて, 地位も高いと解釈された.<BR>8) 刺激図版におけるSPのポーズの違いによって, 異なった情報が伝達される事態を確認することが出来た.