著者
Moyer Jack T.
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:18847374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.76-81, 1987

浮性卵を産む礁魚の多くは, 産卵の際に雌雄が上方へ突進する (spawning rush).この行動は親魚と卵が捕食されないための防衛行動であると考えられているが, 未だ検証されていない.本研究では1981年に三宅島においてニシキベラのグループ産卵を461回観察し, 他魚種による親魚の捕食を定量的に調べた.その結果, 7種の魚が合計206回親魚を襲うのが観察された.この内171回はspawning rush中の魚に対して行われたが, 一度も成功しなかった.spawning rush前のbobbingやmilling中の親魚に対しては35回の攻撃があったが, これにより4尾の親魚が捕食された.すなわち, 全体としての捕食者の成功率は1.9%にすぎなかった.これに対し, 卵は9種のプランクトン食性魚類の捕食を受け, その頻度は213回中90回 (42.3%) に達した.以上の結果から, spawning rushは親魚の捕食者に対する防衛としては有効であるが, 卵の捕食者に対してはほとんど効果のないことが判明した.この他7種の礁魚のspawning rushと卵捕食との関係についても述べた.

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