- 著者
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山本 茂貴
石渡 正樹
- 出版者
- The Japan Society of Veterinary Epidemiology
- 雑誌
- 獣医疫学雑誌 (ISSN:13432583)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.2, pp.51-62, 1998
- 被引用文献数
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食中毒による被害はこれまで事件数, 患者数, 死者数という直接的な被害を表す数値によって表現されてきた。しかし, このような指標は原因の異なる食中毒の被害を十分に比較できず, 食中毒が社会的又は経済的に及ぼす影響について評価し難いという問題を持っている。<BR>細菌性食中毒による経済損失の推計方法及び推計に必要なデータを調べるために米国農務省のBuzbyらが行ったcost-of-illnessの推計方法を検討した。<BR>その結果, 現在の日本ではBuzbyらが使用したものと同様な疫学データがないために同じ方法で推計を行うことができないことが判明した。そのため, 現在入手可能なデータを使用して横浜市におけるサルモネラ食中毒のcost-of-illnessの推計を行なった結果, 1991~1995年に横浜市内でおきた食中毒事件のcost-of-illnessはおよそ850万円 (1993年の円に換算) (1年あたり平均約170万円, 患者1人あたりの費用は約44, 000円) , 横浜市民のなかで発生したサルモネラ食中毒の1年間のcost-of-illnessはおよそ7, 700万~5億3, 000万円) (患者1人あたりの費用は約23, 000円) と推計された。<BR>今後, 精度の高いcost-of-illnessの推計を行うためには, 使用する質の高いデータを得るための疫学研究の充実が必要であると考えられる。