著者
花村 榮一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.688-696, 2005

1900年プランクは, 古典物理学では説明できない溶鉱炉中の光エネルギーの波長分布の謎を, 光量子仮説を導入して解決した.これが量子力学の誕生である.1905年この光の粒子性(光子)を用いて, アインシュタインは光電効果を説明した.光が波動と粒子の二面性を持つという非日常性は, ハイゼンベルグの不確定性原理で理解できた.しかし, 青色の1光子が赤色の2光子に分割されるパラメトリック過程で発生する2光子の量子もつれ合い(強い相関)は, 2つの光子を遠く離しても存在し続ける.このもう一つの非日常性を1935年アインシュタインらは指摘した.これも, 量子力学特有の非局所性として理解され, 最近は量子コンピューターと量子通信に使われようとしている.レーザー光の発明は光学と工学に革命をもたらし, 金属加工に用いられる一方で, 人類は10<SUP>-9</SUP>Kのオーダーの超低温まで原子系を冷却できるようになった.その結果, 原子系はボーズ・アインシュタイン凝縮やフェルミ凝縮を示して, 波動として振舞う.この百年の歩みはアインシュタインに負うところが大きかったが, 最近は日本からの寄与も大きくなりつつある.これらを概観する.

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こんな論文どうですか? 「日本の物理学100年とこれから」  光量子と光物性‐光学からフォトサイエンスへ‐(花村 榮一),2005 https://t.co/pXoU2Gc1JH
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