- 著者
-
村瀬 武吉
- 出版者
- The Japanese Society of Gastroenterology
- 雑誌
- 消化器病学 (ISSN:21851158)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.1, pp.13-38, 1937
成熟健康ナル雌犬ニチリー・ヴエラ氏腸瘻管ヲ設置シ, 實験當目ハ室腹トナシ早朝ヨリ腸液ヲ分劃的ニ採取シ, 腸液量及ビ腸液中ニ含有サル・「アミラーゼ」・「リパーゼ」・「エレプシン」ノ3酵素ノ諸種藥剤ニヨル影響ヲ實験セリ.<BR>先ヅ自律神経毒ニヨル影響ヲ實験シタルニ, 「ビロカルビン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素總量ハ増加シ, 「アトロビン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素總量減少シ, 「エルゴタミン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素總量減少シ, 「ヒョリン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素總量ハ増加セル場合ト, 影響ナキ場合トアリタリ.「アセチール隔リン」注射ニテハ腸液量竝昨酵素総量ニハ影響ナシ.「アドレナリン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素総量ハ減少セリ. 次ギニ「ホルモン」製剤中「ビツイトリン」注射ニテハ腸液量竝ビニ酵素総量ニハ影響ナシ.<BR>純體液性分泌刺戟剤ナル「ヒスタミン」及ビ渡薐草「エキス」部チ「スビナチン」ノ皮下注射ニテハ, 腸液量竝ビニ酵素總量ハ稍ゝ増加ヲ示シタリ.<BR>次ギニ榮養刺ナル葡萄糖・「グリココール」・脂肪乳化剤ナル「ヤノール」・「ヴィタミン」B剤注射ニテへ腸液量竝ビニ酵素総量ニハ影響ナシ.<BR>以上ノ實験ノ結果腸液中酵素含有量, 換言スレバ酵素濃度ハ如何ナル藥剤ニヨルモ殆ド影響ナキヲ認メタリ・尚「インシュリン」・葡萄糖注射實験ニ於イデ, 血糖ノ著明ナル變化アルニモ拘ラズ腸液分泌ニハ影響ナキコトヨリ, 腸液分泌ニ於イテハ體液神経性機轉ナキコトヲ認ム.