著者
辰野 誠次 岡田 博
出版者
公益社団法人 日本植物学会
雑誌
植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.984, pp.202-210, 1970
被引用文献数
6

1) 本研究ではオシダ科5属7種の核学的研究が行なわれた. その体細胞における染色体数は次のごとくである.<i>Matteuccia orientalis</i> イヌガンソク 2n=80<br><i>Athyrium niponicum</i> イヌワラビ 2n=80<br><i>Woodsia polystichoides</i> イワデンダ 2n=82<br><i>Diplazim esculentum</i> クワレシダ 2n=82<br><i>D. wichurae</i> ノコギリシダ 2n=82<br><i>D.dilatatum</i> ヒロバノコギリシダ 2n=82, 123<br><i>Diplaziopsis cavaleriana</i> イワヤシダ<br>2n=164<br>このうちイワヤシダの染色体数は初めて明らかにされたものである. また, ヒロバノコギリシダでは2n=82, 123 の染色体数をもつ個体が発見され, 本種には種内倍数性があることがわかった.<br>2) ヘラシダ属の2種 (クワレシダ, ノコギリシダ), クサソテツ属の1種 (イヌガンソク) では核型がA-Fの6型から成り, そのうちA-E型は各2組ずつに再分され計11組から成るので, 原始基本数は b=11 と考えられる. この b=11 は b=12 から由来したことが核型分析から推定された.<br>3) 核型分析された3種は b=11 の8倍性起原の植物と考えられる. そのうち, ヘラシダ属の2種(2n=82) は異質染色体 (H)を6本, クサソテツ属のイヌガンソク (2n=80) は8本欠くことによって現在の染色体数になったものであろう.

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