- 著者
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松本 毅
村瀬 佐太美
池田 定三
中西 治
- 出版者
- 社団法人 日本鋼構造協会
- 雑誌
- 鋼構造論文集 (ISSN:18809928)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.22, pp.29-39, 1999
下津井瀬戸大橋は瀬戸大橋の最も北側に位置する吊橋で、本州の倉敷市下津井とその南にある櫃石島(ひついしじま)とを結んでいる。下津井瀬戸大橋には、側径間端部で補剛桁を下から支え、鉛直反力を受け持つピボット構造のエンドリンク4基が設置されている。これらの内のA3エンドリンク(東西各1基、合計2基)ピボット構造部付近から、周辺民家(民家までL=約30m)でも容易に確認できるようなカンカンという大きな金属音が1993年6月頃より発生するようになった。この音の発生は、重量の大きな貨物列車が通過するときに顕著であった。そこで騒音を低減するための応急措置を施した後、1994年1月~2月にかけて、エンドリンクの精密点検を行い音源調査、ひずみ・変位調査等を現地に於いて実施した。'94年度には、騒音源と思われるピボット部へ潤滑剤を注入するための孔明け方法を検討するために模型実験を行った。また、ピボット部に注入すべき潤滑剤の選定を行った。これらの調査、実験の成果を用いて、'95年度にA3エンドリンクの補修工事を行い、騒音を解消することができた。また'96年度にはA4エンドリンクを同様の方法で補修した。ここでは、エンドリンクの精密点検及び補修工事について述べる。