- 著者
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庵原 俊昭
- 出版者
- 日本ウイルス学会
- 雑誌
- ウイルス (ISSN:00426857)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.1, pp.69-78, 2010
- 被引用文献数
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H5N1パンデミックに備え,世界各国でプライミング効果に優れたプロトタイプワクチンが開発された.本邦の沈降インフルエンザワクチンH5N1は,水酸化アルミニウムをアジュバントとする全粒子ワクチンで,初回の2回接種により優れたプライミング効果を認め,2年後に行った異なる株の追加接種により良好なブーステイングと幅広い交差免疫が誘導され,副反応は容認される範囲であった.しかし,2009年4月以来パンデミックをおこしたのは,Aソ連型と抗原性が大きく異なるH1N1であった.スプリットタイプのA(H1N1)2009ウイルス単味ワクチンの1回接種により効果的なブーステイングが認められ,多くの成人はこのウイルスに対する免疫記憶があることが示された.この結果から世界各国では季節性インフルエンザワクチンと同じ接種方式でこのワクチンの接種が行われた.なお今後の流行予測から2010/11シーズンの季節性インフルエンザワクチンに,A(H1N1)2009ウイルス由来株が含まれることになった.