著者
秋月 百合
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.271-279, 2009
被引用文献数
2

<B>目 的</B><br> 本研究の目的は,不妊症夫婦において,夫のどのような側面を支援的・協力的と認識しているのか,不妊女性の視点から明らかにすることである。<br><B>方 法</B><br> 不妊治療を受ける関東圏内在住の女性患者24名を対象に,半構造化面接を実施した。不妊や治療に関連して,支援的・協力的と認識する夫の側面(言動・態度)について尋ね,口述内容を質的に分析した。<br><B>結 果</B><br> 分析の結果,以下の5つのカテゴリーが抽出された。1)治療過程への身体的参加;検査や治療のための精液採取,精液検査の受検,タイミングを合わせた性交,内服の励行など,治療上の不可欠な役割を夫が果たすこと,2)子どもや治療への関心;治療の結果を気にかけたり,気兼ねなく治療について話ができたり,夫が子どもや不妊治療に関心を示すこと,3)自主的な健康行動;生殖機能の向上を意識した行動を自主的にとること,4)精神的な支え;妻のストレスや苦悩を受け止めてくれること,妻の心身を気遣ってくれること,夫婦二人の生活の価値を承認してくれること,治療に対する妻の意向を尊重してくれること,5)家事の協力・身の回りの世話;妻の身体を思い遣って,日常的に家事に参加してくれること,入院中や体調が悪いとき,身の回りの世話をしてくれること等であった。<br><B>結 論</B><br> 不妊女性の視点から,夫の支援的・協力的側面として,5つのカテゴリーが明らかになった。「治療過程への身体的参加」,「子どもや治療への関心」,「自主的な健康行動」は,不妊という課題に対し協同的に取り組むべきパートナーである夫にしか果たせない役割であり,一方「精神的な支え」,「家事の協力・身の回りの世話」は,不妊に付随した問題に対する支援的なかかわりを意味しており,夫のみならず家族や友人にも期待できる役割であることが示唆された。

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