- 著者
-
貝沼 やす子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.12, pp.785-792, 2006
1) 凍結中の温度履歴では, -20℃より-40℃, 塊よりはシート状, 200gよりは100gの方が, 短時間で最大氷結晶生成帯を通過した. 特に, -40℃・シート状・100gが早く, -20℃・塊・200gが最も通過時間が長かった.<br>2) テクスチャー測定ではほとんどの冷凍保存粥が炊きたてと比較して, かたく, 付着性が大きくなり, 冷凍保存により粥の性状が変化することが確認できた.団塊法では, -20℃より-40℃, 塊よりはシート状, 200gよりは100gの方がやわらかく, 付着性が小さかった. 飯粒法でも同様の傾向がみられたが, シート状・100g, 塊・100gは-20℃より-40℃の方がかたく, 最大氷結晶生成帯通過時間の短い-40℃の方が粥飯粒の崩壊が少ないためと考えた.<br>3) 画像解析結果では-20℃保存の粥に面積の小さな粥飯粒が多く存在していることが示され, これらの飯粒の存在が粥飯のテクスチャーに影響を与えたものと推察された.<br>4) 官能評価では, ほとんどの冷凍保存粥は, 炊きたての粥と比較して, 粒の形が残っておらず, 粒々感, さらさら感がないと評価されたが, -40℃・100gは塊, シート状いずれも炊きたてに近い粥であると評価された. 一方, -20℃, 塊, 200gの保存条件では炊きたてより粥の性状が劣ると評価された.<br>以上, 1)~4) の結果から, 保存形態を問わずに推奨できるのは100gの粥を-40℃に保存する方法であった.