著者
山口 勝業
出版者
Association of Behavioral Economics and Finance
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.180-184, 2012

宗教が職業倫理の形成を通じて経済行動に影響を与えるという仮説は,マックス・ウェーバー以来の問いかけである.国際比較調査によれば日本人の多くは「宗教は信じないが宗教心は大切だ」という外国人にはみられない特異性がみられる.この歴史的な背景は,我が国では古来の神道に加えて仏教・儒教・キリスト教を外来宗教として受容し,江戸時代に宗教と道徳が分離し,現世志向が強い信仰と利他主義を重視する経済倫理が生まれた.欧米の価値観では宗教・道徳が直列構造で教育を通じて経済行動を動機づけているのに対して,我が国では宗教と道徳という二つの動力源をもつハイブリッド型並列構造が教育を通じて経済行動を動機づけている.

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