著者
本多 壮太郎
出版者
Japanese Academy of Budo
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.23-33, 2006

本稿は、イングランド南西部に位置するグロースター州の中等教育機関(セカンダリスクール)に導入された剣道の活動・発展状況について報告する。2003年1月に英国では初となるセカンダリスクールでの剣道クラブがグロースター州チェルトナムで発足した。2005年1月には、同州サイレンセスターにて、剣道が体育カリキュラムとして採用されることとなった。さらに、同年夏には、セカンダリースクールの生徒達が、初等教育機関(プライマリースクール)を訪問し、生徒達自らの手で、プライマリスクールの生徒を対象に、剣道の授業の計画・準備・指導を行い、その成果により、政府関連団体公認のJunior Leaders Awardという資格を得ることができるというプロジェクトが始まった。<br>本稿では、上記の報告とともに、学校剣道の活動の継続・発展を支える重要な要因と、学校剣道がもたらす英国剣道の新たな発展のあり方の可能性についても考察する。クラブとしての剣道、体育カリキュラムとしての剣道共に、その活動は、セカンダリスクールとパートナーシップを結ぶスポーツ奨励団体のサポートを受けている。これにより、学校剣道は、経済的支援だけでなく、剣道をより多くの人に知ってもらう機会を得たり、資格コースを実施することで、学習者のやる気を引き出したり、また学習者の理解を深めたりすることができる授業展開を行うことができる。<br>グロースター州の学校剣道は、英国の一般のクラブではよく見られるジュニアに適切な稽古の環境面、安全面の課題、保護者の経済的、時間的負担の問題などを解決するものであり、今後英国剣道の新たな発展のあり方の可能性として注目される。学校剣道の発展のためにも、英国剣道の発展のためにも、今後は学校、スポーツ奨励団体に英国剣道協会を加えたより強固なパートナシップが形成されることが期待される。

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