著者
三村 均
出版者
Japan Society of Ion Exchange
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.45-51, 2014
被引用文献数
2

東日本大震災で発生した大津波は,福島第一原子力発電所を襲い,原子力発電の安全神話を覆すレベル 7 の原子力事故を引き起こした。国内最悪の事故はいまだ収束に至らず,発電所周辺住民は,震災と原子力事故という二重の苦しみの生活を強いられている。事故対策を進める上で,50 万トン規模の高汚染水が大きな障害となっている。海水が混入した高汚染水の浄化,特に Cs の選択的除染に対しては,無機イオン交換体充填吸着塔による循環注水冷却システムが稼動しており,冷温停止が達成されているが,運転システムの高度化や二次固体廃棄物の安全管理および処分が課題となっている。ここでは,ゼオライトを主体とした Cs および Sr 選択性吸着剤の吸着特性および固化特性を比較評価するとともに,吸着剤の高機能化の試みを紹介する。わが国に豊富に産出する天然産ゼオライトは,Cs に高い選択性を有すると共に,高温での Cs ガスのトラッピング機能および安定固化を実現できる自己焼結機能など優れた特性を有しており,高汚染水の処理および処分において今後重要な役割を果たすものと期待できる。<br>

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