著者
三村 均 木村 仁宣 秋葉 健一 小野寺 嘉郎
出版者
東北大学
雑誌
東北大学素材工学研究所彙報 (ISSN:09194827)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.1-8, 1998
被引用文献数
1

Potassium nickel hexacyanoferrate (II) (KNiFC)-loaded silica gels were prepared by successive impregnation of macro pores with Ni(NO_3)_2 and K_4Fe(CN)_6 solutions. The loading precentage of KNiFC increased with impregnation cycles, and the KNiFC precipitates uniformly dispersed in macro pores of the matrix. The uptake of Cs^+ on KNiFC-loaded silica gels attained equilibrium within 7d at batch factor of 700(cm)^3/g, and relatively large distribution coefficients of Cs^+, K_<d.Cs>, above (10)^4(cm)^3/g, were obtained even in the presence of 5M NaNO_3. The KNiFC particles were thermally decomposed above 300℃, resulting in lowering of uptake ability for Cs^+. This exchanger proved to be effective for the selective removal of radioactive cesium from waste solutions containing highly concentrated NaNO_3.insoluble ferrocyanidespotassium nickel hexacyanoferrate (II)loadingsilica gelimpregnationmacro poreuptakeadsorptioncesiumdistribution coefficient
著者
三村 均 山岸 功 秋葉 健一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.3, pp.621-627, 1989-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
13
被引用文献数
4 13

放射能高汚染水中のCsとSrの処理処分法を確立するため, 各種ゼオライトを充填したカラムについてCsとSrの漏出特性を検討した。CsとSrの漏出におよぼす流速(SV)の影響は大きく SV25 で良好なS字形の漏出曲線が得られた。Csにおいては, いずれのゼオライトでもほぼ対称で良好な漏出曲線が得られた。一方, チャバザイトとモルデナイトのカラムからの Sr の漏出では, 流出液中の Sr 濃度が一時的に初期濃度を超え, 漏出比 C/C0が1以上となる“濃縮現象”が観察された。これらゼオライトに対するCsの選択性が高いため, いったん吸着した Sr が Cs により脱着され溶離したためである。濃縮現象は交換吸着が犬きく低下する要因となる。Csに選択性の高いチャバザイト(C)とモルデナイト(M), Srに選択性のあるXとAゼオライトを用いて, これらを混合した混合ゼオライトの漏出特性をその混合比を変えて調べた。CsとSrの漏出が開始するまでの貫流交換容量をくらべると, C/X=1/3の混合系でもっとも高く, 一括除去の混合系として有効である。混合系の全交換容量は加成性が成立ち, 単独ゼオライトの値から容易に推定できる。
著者
三村 均
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.45-51, 2014 (Released:2014-09-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

東日本大震災で発生した大津波は,福島第一原子力発電所を襲い,原子力発電の安全神話を覆すレベル 7 の原子力事故を引き起こした。国内最悪の事故はいまだ収束に至らず,発電所周辺住民は,震災と原子力事故という二重の苦しみの生活を強いられている。事故対策を進める上で,50 万トン規模の高汚染水が大きな障害となっている。海水が混入した高汚染水の浄化,特に Cs の選択的除染に対しては,無機イオン交換体充填吸着塔による循環注水冷却システムが稼動しており,冷温停止が達成されているが,運転システムの高度化や二次固体廃棄物の安全管理および処分が課題となっている。ここでは,ゼオライトを主体とした Cs および Sr 選択性吸着剤の吸着特性および固化特性を比較評価するとともに,吸着剤の高機能化の試みを紹介する。わが国に豊富に産出する天然産ゼオライトは,Cs に高い選択性を有すると共に,高温での Cs ガスのトラッピング機能および安定固化を実現できる自己焼結機能など優れた特性を有しており,高汚染水の処理および処分において今後重要な役割を果たすものと期待できる。
著者
池田 泰久 三村 均 佐藤 修彰 新堀 雄一 小崎 完 佐藤 努 佐々木 隆之 桐島 陽 出光 一哉 稲垣 八穂広 鈴木 達也 竹下 健二
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2012-05-31

福島原発事故で発生した汚染物の合理的な処理・処分システム構築に向け、従来とは異なる固体・液体汚染物の性状研究、固体・液体汚染物の処理研究、発生廃棄物の処分研究の3分野に分け、基盤データの取得を行ってきた。その結果、燃料デブリの性状、核種の溶出挙動、汚染物の除染法、汚染水の処理法、高塩濃度環境下での核種の移行挙動等、燃料デブリをはじめとした従来知見の少ない海水を含む水溶液に接する条件下で発生した放射性廃棄物の処理・処分技術の開発に資する多くのデータを取得し、福島原発事故廃棄物の処理・処分方策に貢献しうるとともに、放射性廃棄物の処理・処分分野の進展に寄与しうる成果を出している。
著者
三村 均 福森 充 大谷 登蔵 菅野 卓治 Hitoshi MIMURA Mitsuru FUKUMORI Tozo OTANI Takuji KANNO 東北大学選鉱製錬研究所 東北大学工学部原子核工学科:(現)日本データスキル株式会社 東北大学大学院工学研究科:(現)日揮株式会社 東北大学選鉱製錬研究所
出版者
東北大學選鉱製錬研究所
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 = Bulletin of the Research Institute of Mineral Dressing and Metallurgy, Tohoku University (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.19-26, 1979-09-22

The distribution of cesium ion and the properties of ion exchange was studied in various kinds of zeolites, i.e. synthetic mordenite, natural mordenites and clinoptilolites. The distribution coefficients of cesium (K_<Cs>) exceeded 10^3 even in acidic region (pH~1), though the K_<Cs> values somewhat decreased with increasing acidity. The dynamic properties of ion exchange were examined by zeolite-column process and the break-through curves were obtained at different flow conditions. The break-through capacity, the total capacity and the column utilization increased with the increase in column temperature and with the decrease in the flow rate. Heat treatment resulted in an increase in the strength of zeolites, which was desirable for handling them. The zeolites heated at 300℃ and 500℃ increased in their total capacity of ion exchange of Cs and the granulated zeolites heated at 500℃ improved in its exchange rate and column utilization.
著者
山岸 功 三村 均 出光 一哉
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会誌ATOMOΣ (ISSN:18822606)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.166-170, 2012 (Released:2019-10-31)
参考文献数
9
被引用文献数
2 8

福島第一原子力発電所事故の収束に向けた取組みにおいて,2011年12月にステップ2の完了が宣言された。原子炉の冷温停止状態を支える循環注水冷却に関しては,仮設の水処理設備が稼動しているが,恒久的な水処理設備の設置,汚染水処理で発生した2次廃棄物の保管・処理・処分への取組みも求められている。本稿では,汚染水処理の現状を整理し,吸着剤の性能,今後の処理・処分に関わる技術的課題を解説する。
著者
三村 均 柴田 雅博 秋葉 健一
出版者
東北大学
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.182-190, 1989-03-25

The chemical stability of pollucite (CsAlSi_2O_6) has been studied under hydrothermal conditions in relation to the leachability of cesium. At room temperature, the leachability of cesium from pollucite in the neutral pH region was very low. Under hydrothermal conditions (100 and 200℃) in sodium or potassium chloride solution, cesium leached out due to an ion exchange reaction forming new phases such as analcime (NaAlSi_2O_6) and leucite (KAlSi_2O_6) through an isomorphous substitution mechanism. In the presence of calcium or magnesium chloride, the pollucite phase recrystallised with the formation of anorthite (CaAl_2Si_2O_8) and clinochlore (Mg_5Al_2Si_3O_<10>(OH)_8) at the surface of the original pollucite and with the cesium leaching into solution. (Received November 7,1988)hydrothermal stabilitypolluciteleachabilitycesiumion exchangeanalcimeleuciteisomorphous substitutionrecrystallizationanorthiteclinochlore.
著者
三村 均
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.451-467, 2016-11-15 (Released:2016-11-15)
参考文献数
30
被引用文献数
2

福島第一原子力発電所事故では,炉心冷却のために数百トン/日の注水が続けられ,Csなどの放射性物質を高濃度(~106 Bq/cm3)で含む汚染水が短期間で大量に発生し,保管場所の確保も困難な状態となっている。放射能高汚染水は,主に放射性セシウムを含む海水系汚染水であり,極めて大量で高放射能の汚染水の対策は過去に例がないことである。事故の収束に向けた道筋のステップ1において,放射性セシウムを除染する水処理設備が設置され,冷却水として再利用する循環注水冷却システムが稼動している。本システムでは,Cs吸着剤としてゼオライト,CST(結晶性シリコチタネート),不溶性フェロシアン化物が使用されている。今後長期間にわたりシステムの運転を継続する必要があり,高機能性吸着剤の開発,除染の効率化,高度化が緊急の課題とされている。ここでは,CsとSrの選択的吸着剤の吸着特性及び安定固化法及び安全性評価に関わる課題について紹介する。
著者
三村 均 佐藤 修彰 桐島 陽
出版者
Japan Society of Ion Exchange
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.96-108, 2011
被引用文献数
5 15

東日本大震災で発生した大津波は,福島第一原子力発電所を襲い,原子力発電の安全神話を覆すレベル 7 の原子力事故を引き起こした。国内最悪の事故はいまだ収束に至らず,発電所周辺住民は,震災と原子力事故という二重の苦しみの生活を強いられている。事故対策を進める上で,各タービン建屋地下の溜まり水など放射性物質を多く含んだ 20 万トン規模の高レベル汚染水が大きな障害となっている。海水が混入した高汚染水の浄化,特に Cs の選択的分離・除去に対しては,高選択性を有する無機イオン交換体の使用が効果的である。一方,発電所より大気中へ放出された Cs や I は福島県を中心に広範囲に拡散し,汚染された雨水の処理や土壌の除染が緊急の課題となっている。事故後数か月を経過した現在,セシウム(<sup>137</sup>Cs, <sup>134</sup>Cs)による放射能が主であり,放射性 Cs の選択的分離・除去用の吸着剤が重要な役割を担っている。最近,発電所サイトでは外国製技術を導入した除染プラントが稼動し始めたが,運転システムや廃棄物処理など課題がある。そこで,わが国独自の高汚染水処理システムの構築が急がれており,ここではイオン交換分離技術に大きな期待が寄せられている。特に汚染水処理現場では,わが国に豊富に産出する天然産ゼオライトの高い Cs 吸着能に期待が高まっている。ここでは,ゼオライトによる放射性核種の分離・除去,特に放射性 Cs の選択的分離・固化に関して解説する。<br>
著者
三村 均 山岸 功
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.6-20, 2012 (Released:2012-02-02)
参考文献数
40
被引用文献数
16 15

東日本大震災により発生した福島第一原子力発電所事故においては,海水等冷却材の原子炉注入により,原子炉およびタービン建屋内の地下の溜まり水や,敷地内のトレンチなどに放射性物質を多く含んだ数万トン規模の高レベル汚染水が発生し,作業障害や環境汚染を起こしており,今後 20 万トン以上になると予想されている。2011 年 12 月の時点で,循環注水冷却システムにより冷温停止が達成されているが,固体廃棄物(ゼオライト,不溶性フェロシアン化物スラッジ,結晶性シリコチタネート (CST)) の処理および処分は未定である。特に,汚染水中のセシウムの高除染用吸着剤として使用されている不溶性フェロシアン化物および結晶性シリコチタネート (CST) の処理・処分に関しては,過去にもほとんど実績がないことから,今後の重要な課題となっている。本稿では,循環注水冷却システムの構成と進捗状況,およびセシウムの高除染用吸着剤としての不溶性フェロシアン化物および CST の物性および Cs に対する選択的な吸着特性について紹介し,これら固体廃棄物の処理・処分および今後の課題について述べる。
著者
三村 均 山岸 功 秋葉 健一
出版者
東北大学
雑誌
東北大學選鑛製錬研究所彙報 (ISSN:0040876X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-7, 1988-09-30

The selective removal of Cs and Sr from high-activity-level water (HALW) has been studied by the use of various zeolites. The rate of adsorption of Cs and Sr increased with a decrease in size of zeolite particles, and the adsorption reached almost 100% after 5 h and 10 h of shaking for Cs and Sr, respectively. High distribution coefficients of Cs (K_<Cs>=10^4〜10^5) were obtained in the solution/zeolite ratio (V/m) region of about 300 to 1000. The presence of sodium ion fairly affected the distribution of Cs^+ and Sr^<2+>, and K_d values decreased with increasing concentration of Na^+. While the presence of boron almost had no effect on the distribution of Cs ; high K_<Cs> values (K_<Cs>≧10^5) were obtained below 5000 ppm of boron. Distribution coefficients of Cs and Sr were also independent of the equilibrium pH in neutral and alkaline regions at the ionic strength of 0.1. The removal of Cs and Sr from simulated HALW was effectively achieved by the use of mixed zeolites, and the K_d value was 7.0×10^3ml/g at the mixing ratio of 48/52 of X/chabazite.high-activity-level watercesiumstrontiumadsorption ratedistribution coefficientboronmixing ratiomixed zeolite
著者
三村 均
出版者
Japan Society of Ion Exchange
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.45-51, 2014
被引用文献数
2

東日本大震災で発生した大津波は,福島第一原子力発電所を襲い,原子力発電の安全神話を覆すレベル 7 の原子力事故を引き起こした。国内最悪の事故はいまだ収束に至らず,発電所周辺住民は,震災と原子力事故という二重の苦しみの生活を強いられている。事故対策を進める上で,50 万トン規模の高汚染水が大きな障害となっている。海水が混入した高汚染水の浄化,特に Cs の選択的除染に対しては,無機イオン交換体充填吸着塔による循環注水冷却システムが稼動しており,冷温停止が達成されているが,運転システムの高度化や二次固体廃棄物の安全管理および処分が課題となっている。ここでは,ゼオライトを主体とした Cs および Sr 選択性吸着剤の吸着特性および固化特性を比較評価するとともに,吸着剤の高機能化の試みを紹介する。わが国に豊富に産出する天然産ゼオライトは,Cs に高い選択性を有すると共に,高温での Cs ガスのトラッピング機能および安定固化を実現できる自己焼結機能など優れた特性を有しており,高汚染水の処理および処分において今後重要な役割を果たすものと期待できる。<br>
著者
三村 均
出版者
日本粘土学会
雑誌
粘土科学 (ISSN:04706455)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.45-48, 2011-12-25
参考文献数
15
被引用文献数
1
著者
小澤 正基 渡邉 雅之 佐々木 祐二 三村 均 池田 泰久 大橋 朗 須郷 由美 森田 泰冶 佐伯 盛久 橋本 和幸
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高レベル廃液中で酸素酸イオンTcO4-として存在するTc(Tc-99)回収のための効果的な抽出剤を開発した。新しい配位子(2,2’-メチルイミノビスジオクチルアセトアミドMIDOAは、ジグリコールアミド(DGA)の中央のエーテル結合の部位に窒素を導入した中心骨格を持ち、Tcに対し強力な抽出能を示す。MIDOAは安定で毒性がなく、検査(治療)対象の臓器に無理なく取り込まれるTc (あるいはRe) 錯体を創製できた。クロマトグラフィ分離法による高レベル廃液処理分離プロセスを構築した。中性子捕獲による使用済み核燃料の核分裂生成物の元素変換挙動と創成元素の資源としての利用可能性を評価した。