著者
藤原 結花 内田 有紀 川西 亮太 井上 幹生
出版者
応用生態工学会
雑誌
応用生態工学 (ISSN:13443755)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.91-105, 2014
被引用文献数
2

愛媛県の重信川中流域に点在する灌漑用湧水池の魚類群集を,約 10 年を隔てた 2 時期 (1998-1999 年と 2008 年) 間で比較し,護岸改修工事やオオクチバスの定着が魚類群集にどのような変化をもたらしたかについて検討した.調査地である 11 の湧水池のうち 2 つが 2000 年以降に護岸改修 (素堀りから石積み護岸への改修) が施されたもので (改修湧水池), 別の 1 つは 1999 年においてオオクチバスの定着が確認されていたものである (バス湧水池). 出現種数,種構成,種毎の生息密度,および岸部の状態,底質,カバーといった環境要素を比較した結果,バス湧水池では,オオクチバス以外の種が激減するという大きな変化が認められた.このような顕著な変化はバス湧水池に特有のものであり,また,その 10 年間で環境要素に際立った違いは認められなかったことから,バス湧水池で見られた他魚種の激減は,オオクチバスによるものと考えられた.一方,改修湧水池では,改修工事に伴う大きな環境変化が示されたものの,魚類群集には顕著な違いは認められなかった.1 つの改修湧水池では種数は減少したが,もう一方の改修湧水池では増加していた.また,両改修湧水池で生息種の入れ替わりや生息密度の増減が認められたものの,そのような変動は他の非改修湧水池で見られた変動と同程度であった.それぞれの湧水池における各魚種の増減を総じて見た場合,生息密度が増加した例が 32 に対して減少したのは 56 例であり,全体的には減少傾向にあった.この減少傾向は,2008 年におこった水位低下による一時的な減少を含む可能性があるが,ヤリタナゴとタモロコの減少傾向については注意を払う必要があると思われた.これら 2 種は,以前生息していた湧水池の全て (ヤリタナゴ 6 池,タモロコ 2 池) から消失しており,これらの分布域や個体群サイズの縮小が示唆された.また,このことが氾濫原水域や農業水系網全体の劣化を示唆する可能性があることを指摘した.

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@sNHbZ7Yq7I7qEjA @oikawamaru 横からで悪いんですが、バスが悪影響の塊であることは数々の論文から明らかです。 https://t.co/xCrYYIhH3e こちら、人的な改修工事を行った湧水地と改修無いままバスが混入された湧水地の生息魚種の変化を比べた論文ですが、 バスが原生の魚類を著しく減少または絶滅に追いやったことが記されてます

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