著者
周 燕飛
出版者
The Health Care Science Institute
雑誌
医療と社会 (ISSN:09169202)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.151-168, 2009
被引用文献数
2

本研究は,介護施設における介護職員不足が発生する要因として,これまであまり触れられてこなかった4つの仮説を検証した。具体的には,(1)介護施設が地域的に買手独占状態にある可能性(地域的買手独占仮説),(2)淘汰されるべき不採算事業所が市場に残存している可能性(不採算事業所残存仮説),(3)労働市場における求人増と市場賃金の上昇によるマクロ経済的ショックによる可能性(外部市場ショック仮説),及び(4)介護報酬の引き下げによる政策ショックの可能性(政策ショック仮説)である。<br> 分析の結果,「地域的買手独占仮説」,「外部市場ショック仮説」および「政策ショック仮説」が支持されたが,「不採算事業所残存仮説」は支持されないことが分かった。また,支持された上記3つの仮説は,とりわけ,正社員の介護職員不足に強い説明力を持つことがわかった。したがって,規制緩和による不完全労働市場の改善,労働需給がひっ迫する地域における介護報酬の加算,実験的方法による介護報酬の適正水準の算出などが,今後の介護職員不足の解消に有効な方策として提案できる。

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