著者
東畑 開人
出版者
The Japan Association of Sandplay Therapy
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.39-49, 2014

本研究では,発達障害のクライエントが産出するイメージとはいかなるものか,イメージの構造分析を行った。まず,これまでの研究を振り返る中で,発達障害のイメージが「意味」を中身として持たない「表面だけのイメージ」であることを明らかにした。その上で,軽度発達障害の事例の検討を行い,「表面だけのイメージ」が一者性の感覚を保持するために使用される二次元的なものであり,三次元的な空間的分離性,四次元的な時間的分離性が成し遂げられることで,「表面だけのイメージ」に奥行きが生まれてくることを示した。このようにして,面接から排除されていた意味や情緒を人間的に体験することが可能になることを検討し,イメージに見えないイメージに奥行きを見出そうとするイメージの構造分析が,それ自体としてこころをもたないように見える発達障害にこころを見出そうとする営みであることを論じた。

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ちなみに、ウラがないオモテだけのこころについては、以前箱庭療法学研究に「表面だけのイメージ,表面のイメージ,その奥行き―発達障害のイメージ論」という論文を書きました。このあたりは新しい心観に触れられ、面白いです。よろしければ。http://t.co/1G0ilPD6F1

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