著者
横松 宗太 湧川 勝巳 小林 潔司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.24-42, 2008

自然災害により家財を喪失した家計は,復旧のために自己資金以外に外部資金を調達することが必要となる場合がある.しかし,家計が金融機関から借入れができないという流動性制約に直面する場合,家財の復旧過程が遅延することによる被害が発生する.本研究では,流動性制約下における家計による家財の復旧行動をモデル化し,家財が低い水準に止まることや,復旧過程が遅延することにより発生する流動性被害について分析する.そして,防災投資が「期待被害額の減少効果」のみならず,低所得層の家計に対して「期待部分復旧被害額の減少効果」や「期待復旧遅延被害額の減少効果」をもたらすことを明らかにする.また,災害保険や政府による復旧資金の貸付制度というリスクファイナンス手段が,家計の復旧過程に及ぼす機能について考察する.

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