著者
木下 佳子
出版者
Japan Academy of Critical Care Nursing
雑誌
日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.20-35, 2011
被引用文献数
5

本研究は三部構成からなる.第一部では,記憶のゆがみをもつICU入室後患者の体験および対処行動を質的に明らかにした.体験は「被害を与えられた体験」「恐怖感や不愉快な感覚を伴う非現実的体験」「非現実的な光景や音との遭遇」「記憶の欠落」で,対処行動は「ICU体験を否定されずに語りたい」「現実か錯覚・幻覚・夢かと自問する」「記憶の再構築を行う」「非現実的な体験は自分だけではないことを知ろうとする」「体験の意味づけ・理由づけを行う」だった.第二部では,これらを元に「記憶のゆがみをもつICU退室後患者への看護支援プログラム」を考案,試用後完成させた.第三部では,その有用性を半構成的面接法による質的評価および不安抑うつスケール(HADS)と改訂版出来事インパクト尺度(IES-R)による量的調査を統合した方法論的triangulationで検証した.プログラムを記憶のゆがみをもつICU退室後患者20名(適用群)に適用し,非適用ゆがみあり群(N=31)と非適用ゆがみなし群(N=28)と3群間で比較した.質的評価では,18名がプログラム目標を達成し,体験を語れた・説明され理解した・事実を確認した・意味づけができたなどが語られた.量的検証では,非適用ゆがみあり群に対し適用群がHADS,IES-Rで有意に低値を示した.

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