- 著者
-
木下 佳子
井上 智子
- 出版者
- 日本クリティカルケア看護学会
- 雑誌
- 日本クリティカルケア看護学会誌 (ISSN:18808913)
- 巻号頁・発行日
- vol.2, no.2, pp.35-44, 2006 (Released:2015-05-19)
- 参考文献数
- 19
- 被引用文献数
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[研究目的] ICU から退院した人々の生活に,ICU 入室中の体験がどのような影響をもたらしているのかを明らかにし,社会生活へ適応するための看護支援を検討する.[研究方法] 対象:ICU に 4 日以上滞在し,退院後 1 年以上経過した 25 名.データ収集方法:「ICU 入室中の体験」と「ICU 入室中の体験がもたらす現在の影響」について半構成的面接を行った.分析方法:ナラティブ・アナリシスの手法を用いる.[結果] ICU 入室中の体験を現実的な体験ととらえた記憶が鮮明な対象者と記憶が不鮮明な対象者に分類された.前者は,ICU 体験の影響はなかった.後者の非現実的な体験や記憶消失をした対象者は,真実を確認する作業やその体験に対する理由づけという努力を行い,その成否により,非現実的な体験によるとらわれや混乱,記憶消失によるとまどいを起こしていた.また,非現実的な映像や音が残存し再現している人もいた.[考察] ICU での非現実的な体験の予防,体験の語りを促す,記憶の再構築のための情報提供など,その体験を乗り越える努力とそれを支える家族の支援,さらに,退院後の支援体制確立の必要性が示唆された.