著者
尾辻 栄太 山下 導人 小城 琢朗
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.C0894, 2007

【目的】<BR> 疼痛性肩関節制動(症)は五十肩、凍結肩と称されており、保存療法を中心に診療されている。今回、肩関節制動を軽度と重度に分類し日整会肩関節疾患治療判定基準(以下JOA)、ROM、X線所見を評価し比較検討したので報告する。<BR>【対象及び方法】<BR> H17.4~H18.3まで肩関節周囲炎と診断され可動域制限の軽度なもの15例(男性6例、女性9例)を非拘縮群、屈曲90°以下20例(男性8例、女性12例)を拘縮群とした。評価項目はROM、JOAの疼痛(30点)機能(総合機能10点、日常生活動作群10点)、X-P像をもとに肩峰骨頭間距離acromio-humeral interval(以下AHI)、任意な肩甲上腕関節裂隙を測定。X-P撮影は中間位前後方向、ROMはすべて自動運動で回旋は下垂位肘90°屈曲位である。統計的処理はMann-WhitneyのU検定、Peasonの相関係数を用いて危険率5%で検定した。<BR>【結果】<BR> 1)2群間比較(拘縮・非拘縮):AHI(mm)9.4±2.7・10.0±1.5有意差なし、関節裂隙(mm)3.1±1.1・5.2±1.0有意差あり、2)相関関係、A.全体群、関節裂隙:屈曲(r=0.77)、外転(r=0.73)、外旋(r=0.68)、機能:屈曲(r=0.77)、外転(r=0.76)、外旋(r=0.72)、B.拘縮群、関節裂隙:屈曲(r=0.72)、外旋(r=0.68)C.非拘縮群、なし<BR>【考察】<BR> 疼痛性肩関節制動(症)は痙縮期、拘縮期と分類され、症例によってROM制限が軽度な痙縮期においては関節裂隙が保たれていると推測される。緒家の報告では凍結肩の明確なX-P像の異常はないとされている。今回、裂隙に両群逸脱した症例は少なくほぼ正常値内であるが、拘縮群が有意に小さく、屈曲と外旋に相関がみられた。これは下関節包、臼蓋上腕靭帯の影響が予想され、拘縮期では関節包・関節包靭帯の短縮、癒着、瘢痕・線維化、裂隙の狭小化がみられると推測される。浜田らによると関節包は下方・前方・後方の順に肥厚しているとされ、これらに伴い屈曲、外転、外旋制限がみられそれら数値にも示された。また、それらROM制限に伴う機能低下、ADL障害が生じると予想される。自然経過観察でMeulengrchtらは3年で23%、Reevesは4年以上で60%以上にROM制限や疼痛が残存していたことを報告しており、可動域制限消失に1.5~2年あまり必要とされる。そのため機能改善への運動療法の関与が重要視される。<BR><BR><BR>

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 2 posts, 11 favorites)

CiNii 論文 -  肩関節拘縮における検討 ✅ 自然経過観察でMeulengrchtらは3年で23%、Reevesは4年以上で60%以上にROM制限や疼痛が残存していたことを報告しており、可動域制限消失に1.5~2年あまり必要とされる https://t.co/BuoHX9YMzQ #CiNii
肩関節拘縮における検討 ✅自然経過観察でMeulengrchtらは3年で23%、Reevesは4年以上で60%以上にROM制限や疼痛が残存していたことを報告しており、可動域制限消失に1.5~2年あまり必要とされる。そのため機能改善への運動療法の関与が重要視される。 https://t.co/BuoHX9YMzQ #CiNii

収集済み URL リスト