- 著者
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谷 謙二
- 出版者
- 人文地理学会
- 雑誌
- 人文地理学会大会 研究発表要旨
- 巻号頁・発行日
- vol.2004, pp.44-44, 2004
戦後長らく郊外から東京都区部への通勤者は増加を続けてきたが,1990年代後半にはその減少が観察された。その要因として,1)高度経済成長期に就職し,東京に通勤していた世代が退職する年齢層に到達し始めた,2)新卒者の地元就業率の上昇,3)大都市圏外からの人口流入の減少および都心周辺部での分譲マンションの供給の増加により,郊外への住み替えが減少,4)中高年層のリストラ,などがあげられる(谷,2002)。本研究では特に2)に着目し,郊外に居住する男性若年者の就業先がどのように選択されているかをアンケート調査の結果をもとに検討する。 東京大都市圏の30km圏以遠においては,中高年層では東京へ通勤する者が多いが,若年層では地元や郊外核での就業者が多いという地域が広がっている。本研究では埼玉県上尾市を事例地域として選定し,アンケート調査を行った。上尾市は人口約22万人で,さいたま市の北側に隣接し,JR上尾駅から東京駅まではJR高崎線・山手線で約50分の位置にある。上尾市では,第1図に見られるように,中高年層では県外に通勤する男性が多いが,20~30歳代では県内で就業する者が多いという特徴が見られる。 アンケート調査に際しては,上尾市内から無作為に16町丁を選択し,その町丁に居住する1970年代生まれの男性1942人を対象とした。住民基本台帳の住所をもとに2003年10月に調査票を郵送し,230人から有効回答が得られた(有効回収率11.8%)。調査項目は,生年・学歴・婚姻状態・勤務先・情報入手手段・居住歴等である。 発表では、この調査結果を基に就職に際しての情報入手経路等を検討する。