著者
竹原 健二 須藤 茉衣子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.164-172, 2014
被引用文献数
1

<b>背景</b><br> わが国では立ち会い出産に対する認識は広まっている。その一方で,出産に立ち会うことが男性にとって,不安やうつ,トラウマといったメンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性も指摘されつつある。パートナーの出産に立ち会った男性が,分娩開始前から産後までにどのような気持ちになり,どのように気持ちが推移していったのか,ということを質的に記述することを本研究の目的とした。<br><b>方 法</b><br> 東京都およびその近郊にある2か所の病院において,過去3か月以内に陣痛中から分娩終了までのプロセスに立ち会った男性10人を対象に,半構造化面接を実施した。収集したデータについて,2人の研究者が独立して要約的内容分析をおこなった。<br><b>結 果</b><br> 対象者10人のうち7人は,今回の立ち会い出産が初めての経験であった。対象者は皆,分娩第一期から分娩が終了するまで立ち会った。面接調査によって得られた文脈からは,立ち会った男性の気持ち・想いを表す【妻を支えたい】,【未知の世界に対する不安と恐れ】,【共に立ち向かう】,【男女の違いの気づき】,【成長】という5つのカテゴリーと,それを構成する13のサブカテゴリー,立ち会い出産をした男性の気持ちに影響を及ぼした外的要因として,【影響を及ぼした要因】というカテゴリーと,2つのサブカテゴリーが抽出された。【妻を支えたい】は妊娠期の男性の気持ちや行動を表す文脈によって構成されていた。同様に,【想像がつかない世界】や【共に立ち向かう】,【男女の違いの気づき】は分娩時を表す文脈が中心となり,【成長】は分娩直後や産後の男性の気持ちや行動を表す文脈によって構成されていた。<br><b>結 論</b><br> 本研究の結果から,立ち会い出産に臨む男性の気持ちは出産前から産後にかけて変化していくことが示された。助産師を中心とした医療スタッフは男性の状態も観察し,適切な声掛けや働きかけをおこなっていくことにより,男性の立ち会い出産の体験をよりよくすることができると考えられた。

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