著者
姫野 完治 益子 典文
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.139-152, 2015

教師の経験学習の特質を実証的に解明し,モデル化することを目的として,本研究では2つの調査研究を行った.研究Ⅰでは,教育行政職経験のある校長を対象として面接調査を行い,「経験から学習する状態」という視点で教師の学習を捉えられること,コミュニティにおける立ち位置の自覚と微修正が鍵となること等を見出した.その上で,教師の経験学習モデルを構築した.研究Ⅱでは,研究Ⅰで構築したモデルをふまえて,若手,中堅,ベテランの3名の教師のライフヒストリーを事例分析した.教師が経験から学習する状態になっているかどうかは,コミュニティ内の教師の立ち位置によって変動すること,教師の学習の状態を開く上で,学校外のコミュニティや勤務校の異動,自らの実践を対象化することが鍵になること等を明らかにするとともに,教師の経験学習モデルの妥当性と課題を示した.

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