著者
上山 瑠津子 杉村 伸一郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.401-411, 2015
被引用文献数
2

保育の質の向上が望まれている現在, 保育者の実践力に関する量的な指標を用いた研究が必要である。そこで本研究では, 保育者による実践力の認知と保育経験および省察との関連を保育者434名を対象に検討した。まず, 保育実践力尺度に関して因子分析を行い, 因子構造と信頼性の確認をした。その結果, 「生活環境の理解力」「子ども理解に基づく関わり力」「環境構成力」の3因子構造となり, 確証的因子分析の結果, 適合度も一定水準の許容範囲内であることが確認された。次に, 相関分析を行い, 経験年数と省察との関連よりも, 経験年数と実践力の認知との関連が強く, それ以上に省察と実践力の認知との関連が強いことを示した。さらに, 実践力の認知を従属変数にして重回帰分析を行った結果, 省察の下位尺度の中では「子ども分析」の説明の程度が最も強いことが示唆された。以上の結果から, 経験年数の少ない若手保育者であっても, 省察を行うことで実践力の認知が高まり, 省察においては, 子どもの状態に気づき分析的に振り返ることが実践力の認知に繋がると考えられた。

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