- 著者
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塔村 真一郎
- 出版者
- 一般社団法人 日本木材学会
- 雑誌
- 木材学会誌 (ISSN:00214795)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.2, pp.27-41, 2016
- 被引用文献数
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3
近年の大規模木造建築物には,大断面の構造用集成材やCross-Laminated Timber(CLT)のような構造用木質材料の使用が不可欠である。構造用木質材料の強度性能を設計通り発揮させるためには,接着が適正に行われていることが前提となり,使用する接着剤も耐久性への信頼が高いものに限られる。構造用木材接着剤としては,長い間レゾルシノール系樹脂接着剤などが使われてきたが,近年水性高分子-イソシアネート系接着剤や,最近欧米では1液ポリウレタン接着剤も使われ始めている。これらイソシアネート基の反応をベースとした接着剤は,レゾルシノール系接着剤とは化学構造や物性が異なる。したがって,構造用木材接着剤の要求性能や評価法について再検討する必要があり,規格も各国で整備されつつある。そこで本稿では,現行の構造用木材接着剤に要求される接着性能に関する規格とその評価法について概説する。