著者
島村 剛 宮前 亜紀子 今井 絢美 平栁 こず恵 岩永 知幸 久保田 信雄 澁谷 和俊
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.J141-J147, 2016
被引用文献数
6

近年,外用爪白癬治療薬が次々に開発・上市され,長年抗真菌薬の経口投与に限られていた爪白癬治療法に新たな選択肢が増えてきている.本研究では,わが国で上市されている5%ルリコナゾール外用液および10%エフィナコナゾール外用液の特性把握のため,薬剤塗布後の爪中薬物濃度および爪中薬物の抗真菌活性を比較した.<I>In vitro</I>ヒト爪薬物透過性試験では,薬剤をヒト爪に単回投与後,爪を表面から薄切したサンプルの薬物濃度を測定し,爪中薬物濃度分布を算出した.また,<I>in vitro</I>ヒト爪スライス阻止円試験では,薬剤を1日1回14日間投与し,爪スライスを含菌培地にのせ,阻止円の有無から阻止円形成率を算出した.その結果,ヒト爪薬物透過性試験では,5%ルリコナゾール外用液は,10%エフィナコナゾール外用液にくらべ,爪全層において高い爪中薬物濃度を示し,測定ポイントごとの比較では,1.7~8.4倍の濃度差が認められた.また,ヒト爪スライス阻止円試験における,5%ルリコナゾール外用液および10%エフィナコナゾール外用液の平均阻止円形成率は,それぞれ71.0%および12.6%を示し,両剤間で統計学的な有意差が検出された.以上の結果から,2つの外用爪白癬治療薬は特性が異なり,5%ルリコナゾール外用液は,爪中への移行性および貯留性の良さが示されるとともに,爪中のルリコナゾールが抗真菌活性を維持していることが確認された.

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