20 0 0 0 OA 環境真菌と生態

著者
高鳥 浩介
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.J97-J105, 2014 (Released:2014-09-18)
参考文献数
21
被引用文献数
1 4

環境真菌は室内や室外問わず普遍的に生息している.環境真菌の生態は環境に限らず,健康への影響も強くかかわってくることから無視することができない.とりわけ,生活周辺での環境真菌は近年健康被害を及ぼすことが報告されるようになり,その生態を理解することが重要となってきた.本稿では,環境真菌の生活周辺での生態をまとめ,主要な環境真菌について述べた.また環境真菌と健康にかかわる現象についてまとめた.
著者
髙橋 美貴 井上 重治 羽山 和美 二宮 健太郎 安部 茂
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.255-261, 2012 (Released:2012-12-15)
参考文献数
11
被引用文献数
17 13

われわれは, 4種の飽和脂肪酸 (カプロン酸 C6, カプリル酸 C8, カプリン酸 C10, ランリン酸 C12) について, 2.5% ウシ胎児血清含有 RPMI1640培地 (基礎培地) を用いてカンジダ発育に対する作用を検討した. さらに抗真菌活性の強かったカプリル酸, カプリン酸についてマウス口腔カンジダ症に及ぼす作用を調べた. 4種の飽和脂肪酸のin vitro での Candida albicans の増殖に及ぼす効果を調べた結果, カプリル酸, カプリン酸, およびラウリン酸を終濃度0.78μg / ml 以上で添加すると, その菌糸形発育が抑制された. 口腔カンジダ症マウスモデルを作製し, カプリル酸, カプリン酸を1回につき50 μl (3% 濃度) を C. albicans 接種3時間後, 24時間後および27時間後に, 3回口腔内に投与したところ, 舌の症状が改善され, 病理標本でも菌の定着が少なくなることが示唆された. カプリン酸においてはより少量で効果を示し, その改善も著しいものであった. カプリン酸が少量の投与でマウス口腔カンジダ症に効果を示すことから, 口腔カンジダ症の予防および患者への補完代替医療としての使用が期待される.
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.5-6, 2012 (Released:2012-03-30)
著者
平井 一行 犬飼 達也 中山 浩伸
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.J163-J170, 2016 (Released:2016-11-29)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

現在の真菌感染症治療薬には抗真菌スペクトラムや副作用の問題があるため,治療薬選択の余地は狭く,有効な治療法の開発が急務となっている.有効な治療法の開発の1つの手段として,真菌のストレス環境下の応答機序(シグナル伝達や代謝など)の解明がある.本稿では,感染時に起こるさまざまなストレスのうち,鉄欠乏ストレスおよびそれに適応するために起こる代謝の変化に着目し,それらの応答システムの解明について,Candida glabrataを中心としたCandida酵母での研究の現状を紹介し,真菌症の治療戦略の創製の可能性に触れる.
著者
大林 民典
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.J141-J147, 2017 (Released:2017-11-30)
参考文献数
44
被引用文献数
7

カブトガニ血球中のβ-グルカン感受性因子の発見に基づいて血中(1→3)-β-D-グルカン測定法(以下,β-グルカン測定法)が,深在性真菌症の補助診断法として1985年,わが国で誕生した.多くの臨床治験ののち,今やβ-グルカン測定法は内外の深在性真菌症の診療ガイドラインに取り上げられ,世界のどこでも利用できる.しかし,わが国では比色法と比濁法というβ-グルカンに対する反応性が大きく異なる2つの方法が使われているため,両者の測定値を比較する際には注意が必要である.比濁法の血中β-グルカン1pg/mlは,大部分の例で,比色法の7pg/ml前後に相当する.したがって比濁法のカットオフ値は比色法より著しく高くなり,偽陰性による見逃しの可能性が高くなる.また最小検出限界値も比色法に換算すると比濁法では60pg/mlと高く,低値域の測定値の上昇による早期診断に寄与できない.海外で使われているいくつかの試薬もまた感受性が異なる.データの互換性を確立し,本法の有用性をさらに高めるには,国際的な標準化ないしハーモナイゼーションが必要である.将来,国際的な生物保護の流れに沿って,遺伝子工学がカブトガニ凝固酵素の供給源としてカブトガニに取って代わり,標準化の新たな機会をもたらすかもしれない.
著者
田代 将人 泉川 公一
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.J103-J112, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
63
被引用文献数
2 8

肺アスペルギルス症は死亡率が高く,重要な深在性真菌症である.しかし,抗アスペルギルス活性をもつポリエン系,アゾール系,キャンディン系のなかでも,経口投与が可能な抗真菌薬はアゾール系に限られ,日本では慢性肺アスペルギルス症の外来治療には,イトラコナゾール (ITCZ),ボリコナゾール (VRCZ) の2種類のアゾール系薬しか使用できない.したがって,アゾール耐性アスペルギルスの出現は臨床的な脅威となる可能性がある.われわれは,日本においてもアゾール耐性のA. fumigatusが臨床現場において存在すること,その耐性機序はアゾール標的分子の変異が原因であること,ITCZ長期投与によりCYP51AのG54変異が誘導され,ITCZ耐性株が産生されることを明らかとした.現在の日本において,複数のアゾールに耐性を示す株は臨床的にも環境においてもまれであり,アスペルギルス症の初期治療において耐性株の存在を考慮する状況ではない.しかし,アゾール耐性株は世界的な拡がりがみられる問題であり,今後も臨床分離株および環境株の継続的調査が必要である.

7 0 0 0 OA Aspergillus属

著者
矢口 貴志
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.193-197, 2011 (Released:2011-08-31)
参考文献数
12
被引用文献数
5
著者
常深 祐一郎
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.J71-J75, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
1 5

爪白癬治療の基本は経口抗真菌薬であるが,経口抗真菌薬は爪白癬治療のためだけにあるのではない.外用のみでは難治な角化型足白癬には経口抗真菌薬の併用が有効である.眼や耳,口などに接する顔面白癬,広範囲の体部白癬,外陰部の複雑な部位に及んだ股部白癬などは完全に外用し尽くすことは困難で,再発が多くなる.よって経口抗真菌薬が必要である.白癬だけでなく,広範囲の癜風やマラセチア毛包炎,爪カンジダ,カンジダ性爪囲爪炎にも経口抗真菌薬は重宝する.また,真菌症であっても抗真菌薬の外用が困難または禁忌となる場合がある.頭部白癬は外用抗真菌薬の刺激で炎症が強くなる可能性があり,外用できたとしても毛包内までは効果が及ばないため,経口抗真菌薬のみを使用する.また,びらんや接触皮膚炎などを伴った趾間型足白癬は,外用抗真菌薬により刺激性皮膚炎を起こして悪化するため使用しづらい.この場合,局所はステロイド外用薬や亜鉛華軟膏などで治療し,白癬菌には経口抗真菌薬で対応し,合併症消失後は外用抗真菌薬に切り替える.さらに外用は手間と時間を要するため,アドヒアランスが低下しがちである.そこで,経口抗真菌薬を併用し,治療効果を高め,治療期間を短縮することも有用である.経口抗真菌薬は,イトラコナゾールとテルビナフィンの違いを理解して使用することが重要である.新規経口抗真菌薬の臨床試験も行われており,経口抗真菌薬がさらに活用されることを期待する.
著者
矢口 貴志
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.J13-J17, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

国際植物命名規約において,これまで多型的生活環をもつ高等菌類(子のう菌類と担子菌類)では例外的に1つの生物種を2つの学名で呼称すること(二重命名法)が認められていた.しかし,2011年7月にオーストラリア・メルボルンで開催された第18回国際植物学会で国際植物命名規約の大幅な改訂がなされ,1つの生物種に対して1つの学名を与える(1生物種1学名)統一命名法が高等菌類にも適用された.この命名規約の改訂が病原性糸状菌に与える影響,Aspergillus,Penicillium および関連するテレオモルフの学名の検討状況をについて述べる.
著者
大谷 道輝
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.J35-J41, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
7
被引用文献数
1

高齢者では足白癬の罹患率が高く,同居している家族への感染等を考慮すると,皮膚科を受診して適正な治療が望まれる.足白癬の治療では,処方せん調査から約90%が皮膚外用剤のみの外用療法となっている.高齢者の足白癬の外用療法では,高齢者の皮膚が若年者にくらべ,表皮が薄く,角質層の隙間が多く,刺激に弱いことを忘れてはならない.足白癬に用いられる皮膚外用剤は吸収を考慮してクリームが主体であるが,軟膏,ローション,スプレーなど多くの剤形が揃っている.一般に軟膏やクリームにくらべ,ローションやスプレーなどの液剤は刺激が強いことから,高齢者では副作用に注意する必要がある.また,皮膚外用剤はアドヒアランスの悪い剤形であり,患者の嗜好も考慮することが大切である.最近では抗真菌活性が高く,1日1回の製剤が頻用されている.皮膚外用剤の副作用では接触皮膚炎によるかぶれの頻度が最も高く,主薬だけでなく,添加物にも注意が必要である.具体的には,先発医薬品から後発医薬品への変更や,クリームからローションへの剤形の変更,スイッチOTC薬の使用などでは組成を必ず確認する.
著者
清 佳浩
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.97-102, 2012 (Released:2012-06-25)
参考文献数
34
被引用文献数
3 4

Genusmalassezia are now divided to fourteen species. Different species will start or aggravate different skin diseases. In the seborrheic dermatitis, M.restricta will play an important role, in the atopic dermatitis, M.globosa and/or M.restricta are major cutaneous microflora. The availability of new tools such as genomic and proteomic analyses has begun to provide a new insight into the pathogenetic mechanisms involved.
著者
仲 弥
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.163-167, 2012 (Released:2012-08-23)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1
著者
阪口 英夫
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.J43-J49, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
12
被引用文献数
16

近年,高齢者における口腔カンジダ症が増加している.これは,高齢者の増加が大きな理由であると考えられるが,口腔カンジダ症が高齢者に多いことが知られるようになってきたことも要因の1つであると考える.口腔カンジダ症には,3つの病型が存在する.白苔の出現がみられる偽膜性口腔カンジダ症,紅斑の出現がみられる紅斑性口腔カンジダ症,粘膜の肥厚が現れる肥厚性口腔カンジダ症である.これらの治療には,高齢者ではおもにミコナゾールゲルの投与が行われている.高齢者の口腔カンジダ症は繰り返し発症することが多い.そのため,発症後の再発予防が重要となる.再発予防には抗真菌性(antifungal)をもつヒノキチオールを配合した口腔保湿剤を定期的に使用することが推奨される.
著者
杉田 隆 張 音実 高島 昌子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.J77-J81, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
14
被引用文献数
4

ゲノム情報が大量に蓄積されてきた今日では,この情報を用いて真菌の新しい分類体系が再構築されつつある.加えて,新しい命名規約である“国際藻類・菌類・植物命名規約”が2013年1月1日に発効し,1F=1Nの作業も行われている.クリプトコックス症の起因菌であるCryptococcus neoformans とCryptococcus gattii は,それぞれ2菌種(C. neoformans, Cryptococcus deneoformans)と5菌種(C. gattii, Cryptococcus bacillisporus, Cryptococcus deuterogattii, Cryptococcus tetragattii, Cryptococcus decagattii)への再分類が提案されている.Trichosporon 属は5属に再分類され,トリコスポロン症の起因菌であるTrichosporon asahii はTrichosporon 属に,歴史的に重要なTrichosporon cutaneum はCutaneotrichosporon 属に移行した.
著者
井上 重治 高橋 美貴 安部 茂
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.33-40, 2012 (Released:2012-03-30)
参考文献数
16
被引用文献数
3 1

日本産弱芳香性ハーブ 18種について,それぞれの新鮮葉および乾燥葉のハーブウォーターを作製して Candida albicansの菌糸形発現阻害効果を測定した.その結果,乾燥によって揮発成分の種類と含有濃度が大きく変動するハーブウォーター13種は阻害活性も大きく変動し,成分変動の少ないハーブウォーター 5種では活性の変動も少なかった.多くのハーブウォーターの活性はそれぞれの主要成分の活性に比例した.とりわけドクダミ乾燥葉と桜新鮮葉のハーブウォーターが強い菌糸形発現阻害活性を示し,その主要活性成分はそれぞれn-capric acid と cyanide であることが判明した.8種のハーブウォーターが C. albicansに対して中程度ないし弱い増殖阻害活性を示した.
著者
常深 祐一郎
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.J51-J54, 2017 (Released:2017-05-31)
参考文献数
9
被引用文献数
1

白癬菌抗原キットは,白癬菌の細胞壁に存在する多糖類に反応するモノクローナル抗体を使用してイムノクロマト法の原理で検体中の白癬菌抗原を検出する.臨床研究から本キットは爪白癬診断において利用価値が高いが,足白癬診断ではあまりメリットがないことが判明したため,爪白癬の体外診断薬として開発を進め,体外診断用医薬品として承認された.本キットの抽出液は爪検体から短時間に効率よく抗原を抽出できる.爪白癬を疑うも鏡検で菌要素をみつけられないときに,本キットによる検査を行って陽性であれば,再度鏡検を行うことで見落としを少なくすることができる.また,鏡検ができない現場でも本キットで陰性の場合は白癬治療を行わないようにすれば,無駄な治療や医療費を減らすことができる.本検査法はあくまでも従来の真菌検査法を補完するもので,最終的には鏡検による形態学的確認を要する.鏡検と本キットを組み合わせることにより爪白癬診断の精度が高まることが期待される.
著者
Masako Takashima Takashi Sugita
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.119-132, 2022-10-31 (Released:2022-11-30)
参考文献数
119
被引用文献数
9

This review describes the changes in yeast species names in the previous decade. Several yeast species have been reclassified to accommodate the “One fungus=One name” (1F=1N) principle of the Code. As the names of medically important yeasts have also been reviewed and revised, details of the genera Candida, Cryptococcus, Malassezia, and Trichosporon are described in Section 3, along with the history of name changes. Since the phylogenetic positions of Candida species in several clades have not been clarified, revision of this species has not been completed. Among the species that remain unrevised despite their importance in the medical field, we propose the transfer of six Candida species to be reclassified in the Nakaseomyces clade, including Nakaseomyces glabratus and Nakaseomyces nivalensis.
著者
杉田 隆 高島 昌子
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.107-115, 2011 (Released:2011-06-20)
参考文献数
27
被引用文献数
2 4
著者
Hiroshi Kakeya
出版者
The Japanese Society for Medical Mycology
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.11-15, 2022 (Released:2022-02-28)
参考文献数
37
被引用文献数
2

In clinical settings, the number of immune compromised patients have increased as a result of developments in medical technology (e.g., organ transplantation, anticancer drugs, steroids, TNF inhibitors, etc.). However, patients with fungal diseases are also increasing globally. In recent years, the distribution and pathogenicity of fungi worldwide have been changing, with reports that new fungi are emerging, and antifungal-resistant fungi are spreading globally. Global warming, globalization, human activities, and other factors have been suggested as contributing to the emergence of new fungi. Some of the antifungals against which resistant fungi have emerged are commonly used not only for human but also for animal health care and crop protection. Consequently, the occurrence of antifungal-resistant fungi has become a clinical issue. Solving these problems entails continuing the “One Health” approach, which in turn requires updating medical mycology information with regard to the emerging pathogenic fungi. In particular, this paper reviews the recent information on Cryptococcus gattii, Candia auris, and azole-resistant Aspergillus fumigatus.
著者
〆谷 直人
出版者
日本医真菌学会
雑誌
Medical Mycology Journal (ISSN:21856486)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.J91-J94, 2017 (Released:2017-08-31)
参考文献数
5
被引用文献数
2 4

医療の現場では早期診断,治療の方向づけをするうえでリアルタイムに得られる検査結果が求められている.そこで患者の傍らでリアルタイムに実施して診断,治療に役立つ有益な情報を得る検査がpoint of care testing(POCT)である.感染症領域でのPOCTは,初期治療に役立つ情報を診療時間内に得られる迅速検査として利用価値が高い.感染症迅速診断検査キットは,細菌,ウイルス,真菌,原虫疾患などを対象に多岐にわたり,多くの起炎病原体に対する製品が市販されている.これらのうちPOCTとして用いられている測定法は,イムノクロマトグラフィー法(immunochromatography assay:ICA)である.ICAは操作が簡便であるため,医師や看護師でも検査を行える.わが国の臨床現場では血清診断法を補助的に用いて深在性真菌症を早期に臨床診断し,治療に結びつける努力が行われてきた.しかし,検査法は煩雑で本格的な臨床検査の部類に入るため,POCTのカテゴリーからは外れる.近年,POCTとして米国では真菌感染症の診断にLAMP法が試みられている.深在性真菌症の早期診断のために簡便かつ精度の高いPOCTによる検査法の開発が期待される.