- 著者
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齋藤 仁志
- 出版者
- 日本野鳥の会 神奈川支部
- 雑誌
- BINOS (ISSN:13451227)
- 巻号頁・発行日
- vol.21, pp.1-6, 2014
1 2013年5月から2014年7月に金沢八景駅から相武隧道のバス停間で設定した調査ルートを路線バスで移動し、バスの中から目視でカラスによるゴミ集積所の食い散らかしと、集積所に集まるカラスの個体数を記録した。<br>2 収集所を「ポリ袋」、「ネット」、「容器」の3タイプに分けて記録した。調査終了時にはポリ袋0か所(0%)、ネット30か所(53.6%)、容器26か所(46.4%)であり、この結果と2000年の東京都と川崎市の収集所のタイプと比較してみたところ、調査地の方がはるかにネットと容器の普及が進んでいた。<br>3 ゴミの食い散らかしとカラスの数の季節変動は、それぞれ同じような傾向があり、夏は少なく、秋に増加、春に急増した。これらは、繁殖個体によるなわばり防衛行動の強化や、非繁殖個体の行動圏の変化、カラスの採餌内容の変化、周辺住民によるゴミ排出状況の変化などが関係している可能性があると考えられた。<br>4 ゴミの食い散らかしとカラスの数の曜日変動についても季節変動同様に類似した傾向があり、可燃ごみの日の火、土曜日が特に多かった。また、水~土曜日にかけて徐々に増加する傾向が見られた。可燃ゴミ収集日の翌日の水曜日と日曜日のカラスによる食い散らかしの数を比較したところ、日曜日の方が有意に多かった。これらの結果から、周辺住民がゴミ出しの日時をしっかりと守らないことが考えられ、特に週末はそれが顕著にみられた。