- 著者
-
征矢 英昭
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.67, pp.21_2-21_2, 2016
<p> いかなるスポーツも、好きになって自ら練習を重ねること(アドヒレンス)が上達の鍵となる。アウトカムとなるパフォマンスは、少し上がるだけでも運動習熟(練習)に好循環をもたらし、更なる向上を後押しする。あのイチロー選手も、幼少期からバッティングセンターに通い、より速いボールをうまく打つというアウトカムベースの試行錯誤を幾度となく繰り返したことだろう。これには「高意志力:Will-power」と呼ばれ、前頭前野背外側部を基盤とした実行機能(注意、判断、計画立案などの認知機能)を高く保つ必要がある。この機能は子どもにさえ蔓延する運動不足、肥満、抑鬱で低下する一方、我々は、超低強度の運動でも10分間継続するだけで高まり、前向きな気分になれるかどうかが効果を左右すること、更に、持久力とも相関することを明らかにした(Neuroimage, 2014; 2015)。スポーツは導入次第では前頭葉への刺激を通じてWill-powerを引き出し、アクティブライフに転換させることで運動パフォマンスを高めるポテンシャルをもつ。これは学習やビジネスにも応用できる。本講では、運動で引き出すWill-powerの重要性について論じたい。</p>