- 著者
-
崎田 嘉寛
- 出版者
- 一般社団法人 日本体育学会
- 雑誌
- 日本体育学会大会予稿集
- 巻号頁・発行日
- vol.67, pp.86_2, 2016
<p> 第10回オリンピック競技大会(1932、ロサンゼルス)は、国内外の情勢変化を背景に、オリンピックに対する日本社会の意識が変化する起点として位置づけられている。そのため、この変化に深く関与したメディアを視点とした先行研究が包括的に蓄積されている。ここでの主たる資料は、新聞や雑誌等の印刷メディアである。一方で、国内の映像会社やフィルムライブラリーには大会に関する動的映像(以下、映像)が散逸的に蔵置されている。また、今日では典拠を不問にすれば、インターネットを介して簡易に映像を視聴できる。そして、これらの映像からは、印刷メディアによる記述を上回る情報を導出することができよう。しかし、体育・スポーツ史研究において、映像資料を活用する方法論および史料批判に関する知見は十分に確立されているとは言い難い。そこで本研究は、第10回オリンピック競技大会に関する市販のニュース映画「キネマニュース」を対象として、フィルムの復元から映像処理過程を報告し、資料批判について試論を提示するとともに、映像内容を分析する際の歴史的視点について検討することを目的とする。</p>