著者
光村 実香
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】在宅の緩和ケアは,他事業所が参画し,各専門性を活かし,情報共有やケア方法の統一に工夫が必要である。今回は理学療法士(以下,PT)が中心となり,ご本人の性格や生活環境を見極め,看取りまでのケアの基盤を構築し,それを変化させながら他職種と看取りまでの関わりを経験したので報告する。【症例提示】症例は60代女性。家族構成は夫,娘2人。介入時は夫と次女の同居生活,主介護は夫。性格はこわがりなところがあり,新しいケア方法に慣れるまでに時間を要する。既往歴は200X年に肺がん発症。200X+1年3月右上葉切除術施行,進行がんであると本人・家族に告知。その後脳転移,肺再転移,腰椎転移し,化学療法や放射線治療など試みるが効果みられず。200X+5年8月腰痛悪化,疼痛コントロール目的で入院。200X+5年9月自宅での加療希望し退院。200X+5年10月通院困難となり訪問診療,訪問看護,訪問リハ開始。発表者は200X+7年8月より担当。200X+8月3年永眠。【経過と考察】介入初期は下肢・体幹の筋力低下,右下肢の痺れ増強,褥瘡発症しため座位や移乗動作が困難であった。そこでトランスファーボードを導入し,リハビリ内でケア方法を検討・練習した。本人・家族がコツを把握してから家族を介して他職種へその方法を伝達,情報・ケア方法の共有を図った。その後介助量がさらに増加し,間接的な伝達では伝わりにくくなったため,お互いのサービス提供時間に訪問し,実際の場面を通してケア方法を定着させた。その後寝たきり状態となったが車いす移乗の強い希望があったため,トランスファーボードを2枚使い,ベッドと車いすの位置や介助者の人数,介助方法を細かく設定し家族・他職種のケアで実践してもらった。動ける時期から看取りまでのケア方法の変化を見通し,ご本人の性格や生活も含め福祉用具を選定・活用,ケア方法を立案することで看取りまでPTの専門性を発揮した関わりが可能となると考える。

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