著者
中西 智也 小倉 隆輔 河西 理恵
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【目的】問題基盤型学習(Ploblem-based learnig:以下,PBL)の活用は,臨床推論能力の向上や自己主導型学習態度の育成に有効的であるとされている。本邦でも卒前教育での実践例は多く報告されているが,卒後教育における報告は少ない。そこで本調査は,臨床経験の浅い有資格者の卒後教育としてのPBLの有効性を検討し,効果的な卒後教育の在り方を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は経験年数2年目の理学療法士8名とした。方法は河西(2006)が養成過程において実施した内容を参考とし,ファシリテーター役をおき,紙上患者1例に対し2回の討論を行った。計4ヶ月で3症例の検討を行った。PBL終了1ヶ月後にPBL好感度,臨床・学習への影響,運営方法,仲間好感度に関する4項目13設問とPBL実施前・中・後の自主学習時間からなるアンケートを,集合調査法にて実施した。13設問は,設問ごとに100点満点の採点法と自由記載法を併用し,項目ごとの平均点および標準偏差を算出した。【結果と考察】対象となる8名のうち7名から有効回答を得た。PBLへの好感度は81.9±16.8点,仲間好感度は84.3±16.9点,臨床・学習への影響は80.3±14.3点,運営方法は75.2±17.0点であった。また,PBL実施前の学習時間は0.83±0.28時間,実施中は1.50±0.54時間,実施後は0.90±0.36時間となった。自由記載では,他者との討論を通じて自己省察が深まった,仲間意識が向上した,時間配分や手際が悪く疲労感が残った,などの意見が得られた。PBLにより臨床推論力や知識の向上,学習意欲や組織力へ好影響を及ばす可能性が示唆され,卒後研修として有効であると考えられる。一方,導入のためには時間的・身体的負担への配慮や,研修終了後の継続した自己学習時間を確保する工夫が必要になると考えられる。

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