著者
岡本 正
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.23-31, 2015

東日本大震災後に弁護士らが実施した無料法律相談のうち約4 万件の分析結果が,日本弁護士連合会により公表されている.これらの分析結果は,災害後の制度改正や新規立法の根拠事実として活用され,公共政策上の一定の価値を示した.被災地のリーガル・ニーズを集約し,分析することで政策実現を目指す手法を,公共政策上のノウハウとして承継するため,2012 年度以降,中央大学大学院公共政策研究科や慶應義塾大学法科大学院等において,「災害復興法学」の講義が創設された.災害復興法学では,行政,政策,法律,防災及び危機管理等の分野を融合させた新たな公共政策教育を実践している.無料法律相談情報のデータ・ベースを活用することで,首都直下地震や南海トラフ地震など,来るべき巨大災害に備えて講じるべき法制度や公共政策上の課題を発見できる可能性がある.当該分野の研究を深めることは,防災と危機管理の分野において新しいデザインを提唱することになると考えられる.

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