著者
伊藤 大幸 村山 恭朗 片桐 正敏 中島 俊思 浜田 恵 田中 善大 野田 航 高柳 伸哉 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.170-183, 2016
被引用文献数
8

一般小中学生における食行動異常の実態について, 性別・学年による差異, 併存症状としてのメンタルヘルス指標との関連, リスク要因としての社会的不適応との関連という3つの観点から検討した。一般小中学生を対象に質問紙調査を実施し, 4,952名(男子2,511名, 女子2,441名)から有効回答を得た。独自に作成した小中学生用食行動異常尺度について確認的因子分析を行った結果, "やせ願望・体型不満"と"過食"の2因子構造が支持されるとともに, 性別, 学年段階, 体型による因子構造の不変性が確認された。"やせ願望・体型不満"は, 全体に女子が男子より高い得点を示したが, 特に中2, 中3で女子の得点が顕著に高くなっていた。"過食"では顕著な男女差や学年差が見られなかったが, 女子では, 学年とともにやや得点の上昇が見られた。メンタルヘルスとの関連では, "やせ願望・体型不満"が抑うつと比較的強い相関を示したのに対し, "過食"は攻撃性と比較的強い相関を示した。社会的不適応との関連では, "学業", "家族関係"に加え, 男子では"友人関係", 女子では"教師関係"が食行動異常と有意な関連を示した。

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