著者
三和 秀平 外山 美樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.307-316, 2016
被引用文献数
7

本研究では, 新任教師265名を対象に, 教科指導学習動機と教職における自己有能感および健康状態との関連について, 小学校教師と中学校教師および高等学校教師(以下, 中高教師)において検討した。まず, 小学校教師と中高教師の各変数の得点を比較したところ, "内発的動機づけ", "教材解釈・教材開発"は中高教師の方が小学校教師よりも高いことが示された。次に, 教科指導学習動機と教職における自己有能感および健康状態との関連について, "教科指導学習動機→授業力の自己認知→子どもの授業態度→教職における自己有能感および健康状態"の仮説モデルに従い検討した。その結果, 小学校教師と中高教師ともに"内発的動機づけ", "子ども志向"が, また中高教師のみにおいて"熟達志向"が授業力の自己認知や子どもの注視・傾聴の態度を媒介して, 教職における自己有能感および健康状態とポジティブな関連があることが示された。このことから, 教師の学びにおいて, 興味や関心に基づいた動機づけや, 子どもに対して価値を認めた動機づけをもつことが有効であることが明らかになった。さらに, 中高教師においては自己の熟達を目指して学ぶことも重要であることも示された。

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