著者
落合 知美
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.32, pp.45, 2016

<p>日本には、全国各地に動物園がある。それら動物園の運営形態は様々であるが、民間所有の動物園には、私鉄が運営する「電鉄系動物園」がある。これらの動物園は、私鉄沿線に作られ、公立動物園とは異なる発展を遂げてきた。関西地方においても、複数の私鉄が動物園を所有し、そこで大型類人猿を飼育してきた。しかし、2000年に入るといくつかの動物園は閉園し、残る電鉄系動物園も大型類人猿を飼育することはなくなった。そのため、飼育されていた大型類人猿の情報が紛失したり、確認が難しい状況となっている。そこで、関西の電鉄系動物園の成り立ちや歴史を調べるとともに、そこで飼育された大型類人猿の情報収集を試みた。調査は、文献調査を中心としておこなった。公益社団法人日本動物園水族館協会が発行する年報や国内血統登録書、文部科学省ナショナルバイオリソースのデータベース、図書館の郷土資料、地域の過去の新聞などを確認した。調査の結果、関西の電鉄系動物園の始まりは、1907年に阪神電気鉄道が開いた香櫨園大遊園地だろうと推測された。香櫨園大遊園地には、動物園のほか、ウォーターシュートや音楽堂などの施設もあった。1910年には、箕面有馬電気鉄道が箕面動物園を開園し、そこではボルネオオランウータンが飼育された。当時の記録には「佛領ボルネオ産の大ゴリラ」との記載がある。その後、京阪電気鉄道、阪急電気鉄道などが動物園を開園した。これら電鉄系の動物園は、沿線開発の一環として、都市と都市をつなぐ沿線に作られ、大型類人猿は珍しい動物として集客に使われていた。開園時期は、蒸気機関車から電車に変化し、都市間を走る私鉄が増加した時代である。一方、2000年代に入り電鉄系動物園の閉鎖が相次いだのは、沿線の宅地開発が終わった時期である。沿線に動物園を所有する意味や、大型類人猿を飼育する理由が時代とともに変化したことが大きな原因になったと推測された。</p>

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落合知美「関西の電鉄系動物園と大型類人猿」『霊長類研究 supplement』第32巻、2016、p.45 タイトルのインパクトにビックリしたけど、かつての電鉄系動物園の展開と類人猿飼育の状況をまとめたものみたい。電鉄系動物園「衰退」の要因は何か。フルペーパーで読みたい https://t.co/PmTJHIyQml

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