著者
北園 真希
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.277-289, 2016

<b>目 的</b><br> 妊娠期に子どもが重篤な状態で,生存の見込みが非常に厳しいという医学的判断を告げられた女性が,妊娠継続を決めた後から子どもの分娩までの期間に直面する意思決定における体験を探索すること。<br><b>方 法</b><br> 質的記述的研究。一人1~4回,半構造化面接法を用いてインタビューを行った。インタビューから得た逐語録を基に,子どもの重篤な状態を知りながら妊娠継続すると決めた後から分娩に至る過程で直面した意思決定と,それにまつわる当事者の体験を参加者ごとに記述し,体験の共通性を見出し再構成した。<br><b>結 果</b><br> 研究参加者は,妊娠中に子どもが重篤な状態と知らされ,その後に子どもを亡くした5名の女性であった。研究参加者の女性は,子どもが重篤な状態と知り妊娠継続を決めた後に,羊水検査による確定診断の受検,子どもの延命治療や積極的治療,分娩方法,分娩時期,分娩時のバースプランといった,医療に伴う複数の意思決定に直面していた。意思決定における女性の体験として,〈どんな子でも胎内で育て続ける〉〈治らない現実に向き合い苦渋の決断をする〉〈決定の重圧を背負う〉〈看取りのプロセスに価値を置き直す〉の4つのテーマを見出した。その背後には〔いずれ亡くなろうとその子の親となる〕という女性の思いが存在していた。<br><b>結 語</b><br> 女性たちは子どもが短い命であっても,妊娠中から親役割を模索し,母親となる過程を歩んでいた。周囲の人々は,その想いに関心を示さず,継続的な支援は不足していた。医療者は女性が親となる過程に関心を向け,子どもが重篤な状態であっても対話を通じ,妊娠期から関わりを持とうとする姿勢が求められる。

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