著者
田中 利枝 岡 美雪 北園 真希 丸山 菜穂子 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
pp.JJAM-2017-0041, (Released:2018-05-18)
参考文献数
59
被引用文献数
1 3

目 的産科看護者に向けた,早産児の母親の産褥早期の母乳分泌を促す教育プログラムを開発する端緒として,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアについて探索する。対象と方法PubMed,CINAHL Plus with Full Text,医学中央雑誌Web, Ver.5を用い文献検索を行った。さらにCochrane Libraryに掲載されている搾乳に関するレビューに用いられている文献を追加した。その中からタイトル,抄録,本文を参考に,早産児の母親の母乳分泌量をアウトカムとする文献を抽出し,Cochrane Handbook,RoBANS,GRADE Handbookを用い,文献の質の評価を行った。また,研究目的,方法,結果について整理し,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアを抽出した。結 果35文献が抽出され,介入研究24件,観察研究11件であった。無作為化,隠蔽化,盲検化に関する記述が不十分で,サンプルサイズが検討されていないなど,ランダム化比較試験の質は低く,交絡変数の検討が不十分なために非ランダム化比較試験の質も低かったが,観察研究から実践に活用可能と考えられるエビデンスが得られた。早産児を出産した母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアでは,分娩後,可能な限り1時間以内に搾乳を開始すること,1日7回以上の搾乳回数,1日100分以上の搾乳時間を確保すること,手搾乳と電動搾乳の両方について十分な説明を行い,乳汁生成II期に入るまで電動搾乳に1日6回以上の手搾乳を追加すること,カンガルーケアを実施することが有用だとわかった。結 論今後は,産科看護者による早産児を出産した母親への搾乳ケアに関する実態把握を行い,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアが実践できるような教育プログラムを開発していく。
著者
田中 利枝 岡 美雪 北園 真希 丸山 菜穂子 堀内 成子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.15-26, 2018
被引用文献数
3

<p><b>目 的</b></p><p>産科看護者に向けた,早産児の母親の産褥早期の母乳分泌を促す教育プログラムを開発する端緒として,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアについて探索する。</p><p><b>対象と方法</b></p><p>PubMed,CINAHL Plus with Full Text,医学中央雑誌Web, Ver.5を用い文献検索を行った。さらにCochrane Libraryに掲載されている搾乳に関するレビューに用いられている文献を追加した。その中からタイトル,抄録,本文を参考に,早産児の母親の母乳分泌量をアウトカムとする文献を抽出し,Cochrane Handbook,RoBANS,GRADE Handbookを用い,文献の質の評価を行った。また,研究目的,方法,結果について整理し,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアを抽出した。</p><p><b>結 果</b></p><p>35文献が抽出され,介入研究24件,観察研究11件であった。無作為化,隠蔽化,盲検化に関する記述が不十分で,サンプルサイズが検討されていないなど,ランダム化比較試験の質は低く,交絡変数の検討が不十分なために非ランダム化比較試験の質も低かったが,観察研究から実践に活用可能と考えられるエビデンスが得られた。早産児を出産した母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアでは,分娩後,可能な限り1時間以内に搾乳を開始すること,1日7回以上の搾乳回数,1日100分以上の搾乳時間を確保すること,手搾乳と電動搾乳の両方について十分な説明を行い,乳汁生成II期に入るまで電動搾乳に1日6回以上の手搾乳を追加すること,カンガルーケアを実施することが有用だとわかった。</p><p><b>結 論</b></p><p>今後は,産科看護者による早産児を出産した母親への搾乳ケアに関する実態把握を行い,母親の母乳分泌を促すための搾乳ケアが実践できるような教育プログラムを開発していく。</p>
著者
北園 真希
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.277-289, 2016

<b>目 的</b><br> 妊娠期に子どもが重篤な状態で,生存の見込みが非常に厳しいという医学的判断を告げられた女性が,妊娠継続を決めた後から子どもの分娩までの期間に直面する意思決定における体験を探索すること。<br><b>方 法</b><br> 質的記述的研究。一人1~4回,半構造化面接法を用いてインタビューを行った。インタビューから得た逐語録を基に,子どもの重篤な状態を知りながら妊娠継続すると決めた後から分娩に至る過程で直面した意思決定と,それにまつわる当事者の体験を参加者ごとに記述し,体験の共通性を見出し再構成した。<br><b>結 果</b><br> 研究参加者は,妊娠中に子どもが重篤な状態と知らされ,その後に子どもを亡くした5名の女性であった。研究参加者の女性は,子どもが重篤な状態と知り妊娠継続を決めた後に,羊水検査による確定診断の受検,子どもの延命治療や積極的治療,分娩方法,分娩時期,分娩時のバースプランといった,医療に伴う複数の意思決定に直面していた。意思決定における女性の体験として,〈どんな子でも胎内で育て続ける〉〈治らない現実に向き合い苦渋の決断をする〉〈決定の重圧を背負う〉〈看取りのプロセスに価値を置き直す〉の4つのテーマを見出した。その背後には〔いずれ亡くなろうとその子の親となる〕という女性の思いが存在していた。<br><b>結 語</b><br> 女性たちは子どもが短い命であっても,妊娠中から親役割を模索し,母親となる過程を歩んでいた。周囲の人々は,その想いに関心を示さず,継続的な支援は不足していた。医療者は女性が親となる過程に関心を向け,子どもが重篤な状態であっても対話を通じ,妊娠期から関わりを持とうとする姿勢が求められる。