著者
足利 えりか 谷口 義明 長谷川 剛 中野 博隆
出版者
一般社団法人 画像電子学会
雑誌
画像電子学会研究会講演予稿 (ISSN:02853957)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.129-136, 2010

近年,道路の通行量や建物,催し物会場等の入退場者数を把握するための人流計測の自動化に対する需要が高まっている.我々の研究グループでは,カメラで取得した動画像を用いて,人物が重なり合うような状況でも,人流を実時間,高精度に計測できる人流計測手法を提案している.提案手法では,まず,カメラを用いて斜め上空から対象領域を撮影し,取得した動画像中の所望の位置に直線状の仮想ゲートを設置する.次に,仮想ゲート上の各画素における背景差分をフレーム毎に計算し,差分が大きな画素を始点とするオプティカルフローを抽出する.抽出したオプティカルフローを始点が隣接する同じ向き,大きさのフロー群に分離し,事前学習により得た統計情報を用いて,分離したフロー群の大きさから,通過人数を推定する.本稿では,提案手法の諸要素のうち,仮想ゲートにおけるオプティカルフローをブロックマッチング法を用いて抽出する手法を提案する.提案手法では,探索範囲を仮想ゲート周辺に限定することにより,計算量を抑え,マッチング判定処理を従来より詳細に行うことができるため,高精度なオプティカルフローの抽出が可能となる.実動画像を用いた評価の結果,提案手法を用いることにより,実時間,89%の精度でオプティカルフローの抽出が出来ることを示す.

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