著者
有馬 比呂志 中條 和光
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

小学校2〜6年生を対象として,相手の情報に基づいて自己の記憶方略を最適化するという相互交流記憶システム(TMS)に基づく認知的分業の発達変容について質問紙調査により検討した。本研究では,2者間で役割を分担して遂行することで高得点になる事態を設定した課題を用いた。課題では,児童がペアとなって学校内にある物を覚え,記憶成績を他のペアと競うというストーリーを用いた。参加児には,登場するペアの一方の記憶方略に関する情報を与え,もう一方の児童が取るべき記憶方略について回答を求めた。明示条件(実験1)では,ペアの相手の記憶方略を直接提示し,もう一方が選択すべき方略を質問した。また暗示条件(実験2)では,相手がどのような方略を選択するかを推論するための情報を提示し,もう一方が選択すべき方略を質問した。その結果,TMSに基づく自発的な認知的分業が可能になるのは4年生以上であることを見出した。

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