- 著者
-
谷 謙二
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.2012, 2012
1.はじめに<br> 筆者は90年代から地理学関連のソフトウェア等の開発を継続している。当初はソフトを開発してもその配布が困難だったが,90年代末からのインターネットの普及により,公開・配布が飛躍的に容易となり,現在では様々な領域で利用されている.ここでは,ソフトウェア等の開発から公開,ユーザー対応まで,筆者の経験を述べる. <br><br> 2.ソフトウェアの開発 筆者の開発しているソフトウェア類をその利用の専門性と機能を軸として示したものが図1である.一般に,多機能なソフトほど開発に時間がかかり,そのプログラム・コードも大きくなる.ソフトを開発する際には、既存のソフトでは実現できない機能を実現することが重要で,そうでなければ単なる模倣に終わってしまう.ただし、時間をかけてソフトウェアの開発を行い,継続的にメンテナンスを行っても,論文にはなりにくいという問題がある. <br><br>3.ソフトウェアの利用状況と利用促進<br> 筆者Webサイト(http://ktgis.net)からの2011年3月~12月末までのダウンロード状況を見ると,MANDARAは約2万2千回,今昔マップ2は1万回で,VECTOR,窓の杜等の外部サイトからのダウンロードを含めるとさらに多くなる.一方で,専門性の高い「OD行列集計プログラム」は60回に過ぎない. 多くの人が利用できる多機能なソフトを開発しても,存在が知られていなければ利用されない.認知度を高めるには,VECTOR,窓の杜といったライブラリに登録することが重要である.一方,Webサービスではこのようなライブラリが存在しないので,検索エンジンにおいてより上位に表示されるための,SEO対策が重要となる.一方,専門家に活用されるようになるには,専門家間の対面接触による口コミも役立っていると推測している.<br><br> 4.ユーザー対応<br> ある程度の専門性があり,かつ多機能なソフトの場合は,操作方法に関するユーザーからの質問が発生する.MANDARAの場合は基本的にWeb上の掲示板で質問に対応しており,最近3年間では約260の質問に対応した.基本的に質問の出された翌日までには返信を行っており,これは確実に対応する姿勢を示すためである.掲示板での質問の中には,時々バグ情報も含まれており,ソフトへのフィードバックとして重要な役割を果たしている.<br>