- 著者
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川村 昭子
新澤 祥恵
中村 喜代美
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.64, 2012
<b>目的</b> 石川県独自の行事で、奥能登地区に伝わる農耕儀礼「あえのこと」は、だんだんとこの行事を行う地区・農家が減少しつつある。時代と社会の変化に合わせて現代どのように意識され、伝承されているかを調査した。<br><b>方法 </b>1)日本調理科学会特別研究「調理文化の地域性と調理科学-行事食-」に「あえのこと」を加えて、2010年4月に石川県内19市町村の食生活改善推進員461名を対象とし、認知・実施状況、この行事で食する食べ物・料理について調査した。2)2011~2012年に石川県能登町(旧柳田村)で行われた行事について調査した。<br><b>結果</b> 「あえのこと」は、田の神様をもてなし、感謝をささげる奥能登の伝承行事で、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録され、国の重要無形民族文化財にも指定されている。毎年12月5日に田の神様を迎え、翌年の2月9日に田の神様を送り出す行事で、現在は輪島市、能登町、珠洲市などで行われている。1)この行事の認知率は40.6%であったが、実施(経験)率は6.1%と低く、奥能登の輪島市、能登町、珠洲市などで行われていた。2)12月5日の「田の神様お迎えの儀」、2月9日「田の神様送り出しの儀」両儀式後、必ず「直会の儀」として、甘酒、小豆飯、汁物、刺し身、煮しめ、焼き物、酢の物、漬け物、ぼた餅などの「ご馳走」でもてなし、神様のおさがりとして家族全員で食事をする。調査では喫食経験のある料理として、煮しめ(13)、尾頭付き焼き魚(10)、小豆飯(7)、酢の物(6)、ぼた餅(4)、甘酒(3)などが出現していた。だんだんと簡略化され、家庭で「ご馳走」を作らないのか、行事は行ってもあまり食されていない傾向であった。