著者
櫻井 美代子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

【目的】小麦粉より作られるうどん・そうめんなどの麺類のほかに、すいとんや団子類・まんじゅう類・パン類にも加工されるほか、食品のつなぎや衣などに使用されている。このうち日常食・行事食のいずれにも使われ、地域的特徴のみられるうどんをとりあげ、その種類呼称、調理法用途などについて調査を行った。また、日常のうどん食が継承されている相模原市津久井地区のうどんとの関係についても検討したい。資料としては、大正末期から昭和初期の聞き取り調査をまとめた、『日本の食生活全集』(農山漁村文化協会)47冊を中心に調査・検討を行った。<br>【結果及び考察】 うどんは、ほぼ全国的に食されており今回は、「うどん」の呼称に注目し、以下のように分類した。①地名や形態の呼称。「讃岐うどん」や「稲庭うどん」のように地域名があるものや「ひもかわうどん」のようにうどんの形態をあらわしてあるもの。②うどんをゆであげててから食す、「釜あげうどん」や汁に野菜やうどんを煮こんだ「にこみうどん」などうどんの調理法と用途による違い。③日常食と行事食<br>以上の分類により、地域に根づいた呼称があるうどんが各地で存在している。煮こみうどんでも、ゆでこぼしてから煮こむものと、煮汁に直接いれて煮こむものと調理性の違いによるものがあった。日常では、煮こみにする時には季節の野菜などを共に煮て食され、毎日夜うどんを常食している地域も存在した。日常食以外でも、盆や祭り・正月などにうどんが供えられたり、人寄せの時に振る舞われたりしていた。多くは、行事や接待に使用する時には、ゆでこぼしたうどんを使用することが多く、てんぷらや野菜の煮たものなどを添え、つけ汁で薬味を添えて食することが見受けられた。

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