- 著者
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徳山 孝子
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
- 巻号頁・発行日
- vol.66, 2014
<b>目的</b> 明治天皇は嘉永5(1852)年9月22日、孝明天皇の第二王子として誕生し、明治元(1868)年1月15日、天皇元服される.その時代は、幕末・明治維新を経て、徳川幕府が崩壊し天皇中心とした中央集権体制、藩閥政治へと世の中が変わった.本研究では、国民の新時代を印象づけた明治天皇の御正服(軍服)を取り上げ、その歴史的経緯と意匠を調査収集とその分析により明らかにした. <br><b>方法</b> 皇室では束帯装着は朝儀のみを除いて廃止され、西洋からの礼服導入が始まった.明治天皇の肖像画でその足跡をたどることができる.パリAICP校(Académie Internationale de Coupe de Paris)には、“empereur”と記された軍服のデザイン画が残されていた.<br><b>結果</b> 明治天皇の軍服は、AICP校に所蔵されている軍服の絵型と酷似していた.その絵型には「DOLAMN DE L’EMPEREUR DE JAPON」と記され、日本の明治天皇の軍服であると推測される.絵型は、首から後ろ肩にかけて菊と唐草文様、前身頃から腰回りも全部菊と唐草文様で縁取り、両脇にスリット、助骨五段(モール二条)に菊花文様の5つボタンであった.