著者
金森 朝子 久世 濃子 山崎 彩夏 バナード ヘンリー マリム・ティトル ペーター 半谷 吾郎
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.29, 2013

 ボルネオ島マレーシア領サバ州北東部に位置するダナムバレイ森林保護区は,第一級保護林に指定されている低地混交フタバガキ林である.保護区内にある観光用ロッジ Borneo Rainforest Lodge周辺2平方 kmでは,エコツアーのガイドや観光客によって豊富な動物相が確認されており,今後はエコツーリズムだけでなく学術研究や学習活動の利用が期待されている.しかし,これまでに生息相の把握を目的とした本格的な調査は行われておらず,基礎的なデータ整備を行う必要がある.そこで,本研究ではカメラトラップ法による調査を実施した.また,調査期間中には,数年に一度爆発的な果実量の増加をひきおこす一斉結実が起こった.哺乳類相の季節変化についても知見を得たのであわせて報告する. 調査方法は,赤外線センサーを内蔵した自動撮影カメラを,調査地内にあるトレイル 8本(計11km)に 500m間隔で 20台設置した.カメラは,常に 20台が稼働するように,約 1ヶ月間隔でカメラ本体もしくは SDカードと電池交換を行った.調査期間は,2010年 7月から 2011年 8月までの約 14ヶ月間,総カメラ稼働日数は 6515日であった.その結果,少なくとも 29種の哺乳類が撮影された.もっとも高い撮影頻度指標(RAI)の種は,順にマメジカ 0.11(撮影頻度割合の33.8%),ヒゲイノシシ 0.07(24.3%),スイロク0.02(7.5%)だった.その他,撮影頻度は低いものの,ボルネオゾウ,オランウータン,マレーグマ,ビントロン,マーブルキャット,センザンコウなどが撮影された.また,一斉結実期には,マメジカ,ヒゲイノシシ,スイロクの RAI値と果実量の増加に正の相関がみられた.ヒゲイノシシは,一斉結実期よりコドモを連れた親子の写真が増加する傾向がみられた.これらの結果を用いて,本調査地の哺乳類相と一斉結実による影響を詳しく紹介する.

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こんな論文どうですか? カメラトラップ法で確認されたダナムバレイ森林保護区における中大型哺乳類相と一斉結実による影響(金森 朝子ほか),2013 https://t.co/mnquYrMSEY
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