著者
布井 雅人 吉川 左紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.30, 2013

我々の選好判断は,対象と共に呈示される他者の影響を受けている。中でも,他者の視線方向や表情は,視線が向けられた対象の評価を表すシグナルとして,観察者自身の選好判断に用いられている (Bayliss et al., 2007)。このような他者の影響は,複数の研究で検討されているが,それらでは,1人の他者からの影響のみに焦点が当てられてきた。そこで本研究では,他者が複数存在する場面において,その人数が選好判断に及ぼす影響について検討した。実験では,画面上に4人の顔写真を呈示し,その中でターゲットに視線を向ける人数 (0, 1, 2, 4人) とその表情 (喜び・嫌悪)を操作した。その結果,4人全員または1人が喜び表情で視線を向けたターゲットの好意度が上昇し,4人全員また1人が嫌悪表情で視線を向けたターゲットの好意度が低下した。これらの結果は,複数の他者が存在する場面においては,視線・表情に加え,他者の人数が選好判断に影響することを示すものである。

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