著者
大薗 博記 森本 裕子 中嶋 智史 小宮 あすか 渡部 幹 吉川 左紀子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.65-72, 2010
被引用文献数
2

How do we come to trust strangers? Previous studies have shown that participants trust smiling faces more than they trust nonsmiling faces. In daily communication, both facial and linguistic information are typically presented simultaneously. In this context, what kind of person will be judged as more trustworthy? In our experiment, 52 individuals participated as donors in a Trust Game involving many partners. Prior to the game, participants were shown photographs of their partners' faces (smiling/nonsmiling) as well as answers to questions indicating their partners' level of trustworthiness (neutral/somewhat trustworthy/trustworthy). Participants then decided how much money to give to each partner. The results showed that more trust was placed in partners providing trustworthy answers than in those providing neutral answers. Smiling female partners were trusted more than nonsmiling female partners. In addition, smiling partners were less trusted than nonsmiling partners only when the answers were trustworthy. These results suggest that individuals displaying too many signs of trustworthiness can actually be viewed with distrust.
著者
大薗 博記 渡部 幹 吉川 左紀子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.77-86, 2013

Trustworthiness can be judged through smiles, because smiling is difficult to fake. On the other hand, linguistic information, which is easier to fake, is also a signal of a person's trustworthiness; persons claiming to be trustworthy will probably be punished if their lie is exposed. We examined the punishments given to unfair persons who expressed their trustworthiness through linguistic information or facial expressions. In the experiment, all the participants played the Trust Game, wherein they were assigned as donors; 67 participants in Experiment 1 were exposed to their partner's linguistic information (responses to the questionnaire: trustworthy/neutral), and 100 participants in Experiment 2 were shown their partner's face (smile/no smile). They then decided the amount of endowment to give to their partners. After hearing their partner's decision (regarding fair/unfair allocation), they had an opportunity to punish an unfair partner and deduct money from the partner's share. Results show that liars caught through linguistic information were punished severely, but those caught through facial expressions were not. The different mechanisms between processing linguistic information and facial expressions were discussed.
著者
長岡 千賀 小森 政嗣 桑原 知子 吉川 左紀子 大山 泰宏 渡部 幹 畑中 千紘
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.188-197, 2011-09-30

本研究は,心理カウンセリングの対話における,カウンセラーがクライエントを望ましい変化へと導くそのプロセスを明らかにするための予備的研究である.長岡・小森(2009)では熟達したカウンセラーが施行した50分間の模擬カウンセリングを収録し,クライエントとカウンセラーの身体動作の同調性,カウンセラーの発話冒頭形式(発話の最初に相槌的表現がついている,など)およびクライエントの長い沈黙に関して定量的分析を行った.その結果,身体動作の同調性は,カウンセラーの発話冒頭形式の時系列的変化,ないしクライエントの沈黙の出現にほぼ同期して変化していたことが示された.本研究ではこれを踏まえ,非言語行動の変化の直前に焦点を置き,その際のクライエントとカウンセラーの発話内容に対する臨床心理学の熟達者による解釈,ならびにクライエントやカウンセラー本人にカウンセリング映像を見せながら報告させた内観を分析した.結果から,非言語行動が変化するのと対応して,クライエントとカウンセラーに心理的変化が生じていることが示された.クライエントの心理的変化に関わるカウンセラーの技能について議論した.
著者
布井 雅人 吉川 左紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.87, no.4, pp.364-373, 2016 (Released:2016-10-25)
参考文献数
16

Our preferences are influenced by the presence of others. However, it is unclear how the simultaneous presence of multiple others influences preference judgment. In this study, we presented multiple happy or disgust face images around a target and examined their influence on target preference. In Experiment 1, we presented only happy or disgust faces in order to examine the influence of quantity. In Experiment 2 and 3, we manipulated the ratio of happy or disgust and neutral faces. Findings revealed that the happy face increased the target preference and its effect varied by the ratio of happy faces. On the other hand, the disgust face decreased the target preference only if there was one such face. These results indicate that although the numeric information of others’ facial expressions influences preference judgment, this influence differs with the nature of others’ expressions.
著者
布井 雅人 吉川 左紀子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.87.15043, (Released:2016-05-10)
参考文献数
16

Our preferences are influenced by the presence of others. However, it is unclear how the simultaneous presence of multiple others influences preference judgment. In this study, we presented multiple happy or disgust face images around a target and examined their influence on target preference. In Experiment 1, we presented only happy or disgust faces in order to examine the influence of quantity. In Experiment 2 and 3, we manipulated the ratio of happy or disgust and neutral faces. Findings revealed that the happy face increased the target preference and its effect varied by the ratio of happy faces. On the other hand, the disgust face decreased the target preference only if there was one such face. These results indicate that although the numeric information of others’ facial expressions influences preference judgment, this influence differs with the nature of others’ expressions.
著者
布井 雅人 中嶋 智史 吉川 左紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.43-50, 2013-08-31 (Released:2014-07-19)
参考文献数
12

本研究では,「限定」することが,商品の魅力評価および商品選択に及ぼす影響について検討を行うことを目的とした.実験では,限定販売であることを示す限定ラベル刺激(期間限定・数量限定・地域限定)と限定無関連ラベル刺激を作成し,商品画像刺激とともに対呈示した.実験1では,商品の魅力度評定が行われ,実験2では,同時に呈示された二つの商品から買いたいほうを選択する強制二肢選択課題が行われた.その結果,すべての限定条件において,限定ラベル刺激によって商品魅力度が上昇した.さらに,期間限定条件では選択率の変化が見られ,数量限定・地域限定よりも限定の影響が大きいことが示された.
著者
吉川 左紀子 乾 敏郎
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.175-178, 1986-08-30 (Released:2010-07-16)
参考文献数
6
被引用文献数
1

For use in experiments investigating semantic processing of nonverbal materials, 82 drawings of familiar objects are presented, along with their most common names, the mean ratings of image agreement, adequacy of complexity, and familiarity. Most concepts were exemplars from one of 10 familiar categories (animals, insects, vehicles etc.). Names and ratings were obtained from 81 undergraduates and graduate students. The moderate correlation (r=.40) was found between percentage of the most common name and image-agreement rating, but the other correlations were negligible. The mean ratings of three variables except adequacy of complexity were compared with those of Matsukawa (1983), obtained from Japanese subjects using Snodgrass and Vanderwart's (1980) drawings. The high correlation between familiarity of both studies (r=.88) indicates that this variable is not affected by visual characteristics of the particular stimulus set. The possible uses of the present stimulus set were suggested.
著者
吉川 左紀子 中村 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1324-1331, 1997-08-25
被引用文献数
7

相手の顔の表情や, 性別, 年齢が話し手の発話行動にどのような影響を及ぼすのかを実験的に検討した. 48名の被験者(「話し手」)が, ディスプレイに提示される大学生または40代成人男女の顔写真(笑顔, 真顔, 怒り顔)に対して, (1)ペンを借りる, (2)道を尋ねる, (3)車をぶつけて謝る, (4)うるさい隣人に抗議する, という四つの発話状況で話しかける課題を行い, そのときの発話行動をビデオカメラで記録した. 発話行動は, 発話の文節数, 発話のていねいさ, 発話開始までにかかった時間, 発話の流ちょうさ,「話しかけやすさ」と「発話の自然さ」の自己評価(被験者による評定)という6種の指標によって分析した. その結果, 相手の顔の表情は, 発話表現のていねいさや発話開始時間, 流ちょうさ, 話しかけやすさ, 発話の自然さといった発話行動のさまざまな側面に影響することがわかった. 一方相手の年齢や性別は, 話しかけやすさや発話の自然さについての主観的評価には影響を及ぼしたが, 発話開始までの時間や流ちょうさといった遂行指標には影響しなかった. コミュニケーション場面における時間的制約の中での顔の認識の特徴について考察した.
著者
布井 雅人 吉川 左紀子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.30, 2013

我々の選好判断は,対象と共に呈示される他者の影響を受けている。中でも,他者の視線方向や表情は,視線が向けられた対象の評価を表すシグナルとして,観察者自身の選好判断に用いられている (Bayliss et al., 2007)。このような他者の影響は,複数の研究で検討されているが,それらでは,1人の他者からの影響のみに焦点が当てられてきた。そこで本研究では,他者が複数存在する場面において,その人数が選好判断に及ぼす影響について検討した。実験では,画面上に4人の顔写真を呈示し,その中でターゲットに視線を向ける人数 (0, 1, 2, 4人) とその表情 (喜び・嫌悪)を操作した。その結果,4人全員または1人が喜び表情で視線を向けたターゲットの好意度が上昇し,4人全員また1人が嫌悪表情で視線を向けたターゲットの好意度が低下した。これらの結果は,複数の他者が存在する場面においては,視線・表情に加え,他者の人数が選好判断に影響することを示すものである。
著者
吉川 左紀子
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.1245-1251, 2000-09-20 (Released:2011-03-14)
参考文献数
28
被引用文献数
1 2
著者
大薗 博記 吉川 左紀子 渡部 幹
出版者
The Japanese Society for Cognitive Psychology
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.157-166, 2006

進化論的枠組みで顔の再認記憶について検討したこれまでの研究は,人は協力者として呈示された顔より非協力者として呈示された顔をより再認しやすいことを明らかにした(Mealey,Daood,& Krage,1996; Oda,1997).しかし,顔を憶えているだけではなく,その人物の協力性までも記憶されているかは明らかにされてこなかった.本研究では,まず60人の実験参加者に,未知顔の写真を1回限りの囚人のジレンマ・ゲームにおける (偽の) 選択 (協力/非協力) とともに呈示した.そして1週間後,元の写真に新奇写真を混ぜてランダムに呈示し,その顔を1週間前に見たか否かと,その人物と取引したいか否かを尋ねた.その結果,顔の再認課題では,先行研究とは一貫せず,協力者と非協力者の写真は同じ程度に再認された.一方,協力者に対して非協力者に対してよりも,より「取引したい」と答える傾向があった.興味深いことに,この傾向は憶えられていた顔に対してだけでなく,憶えられていなかった顔に対しても見られた.この結果は,潜在的記憶が協力者と非協力者を見分けるのに寄与していることを示唆している.
著者
蒲池 みゆき 向田 茂 吉川 左紀子 加藤 隆 尾田 政臣 赤松 茂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理
巻号頁・発行日
vol.97, no.509, pp.73-80, 1998-01-23
被引用文献数
34

人間の顔に対する記憶表象や, 表情認知を探る心理実験において, 複数の画像を合成した刺激 (平均顔やカリカチュア顔など) を作成するFUTON System (Foolproof UTilities for Facial Image ManipulatiON System) を開発した. FUTON Systemは, 心理学的に顔研究を行う場合に必要な, 自然な顔画像合成の要求を満たすため, 既存のシステムに対応点の定義や操作性等の点で改良を加えたものである. このシステムにより, 大量の顔画像データを一括に処理することも可能になった.
著者
大薗 博記 吉川 左紀子 渡部 幹
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.157-166, 2006-03-31 (Released:2010-10-13)
参考文献数
29

進化論的枠組みで顔の再認記憶について検討したこれまでの研究は,人は協力者として呈示された顔より非協力者として呈示された顔をより再認しやすいことを明らかにした(Mealey,Daood,& Krage,1996; Oda,1997).しかし,顔を憶えているだけではなく,その人物の協力性までも記憶されているかは明らかにされてこなかった.本研究では,まず60人の実験参加者に,未知顔の写真を1回限りの囚人のジレンマ・ゲームにおける (偽の) 選択 (協力/非協力) とともに呈示した.そして1週間後,元の写真に新奇写真を混ぜてランダムに呈示し,その顔を1週間前に見たか否かと,その人物と取引したいか否かを尋ねた.その結果,顔の再認課題では,先行研究とは一貫せず,協力者と非協力者の写真は同じ程度に再認された.一方,協力者に対して非協力者に対してよりも,より「取引したい」と答える傾向があった.興味深いことに,この傾向は憶えられていた顔に対してだけでなく,憶えられていなかった顔に対しても見られた.この結果は,潜在的記憶が協力者と非協力者を見分けるのに寄与していることを示唆している.
著者
内田 由紀子 竹村 幸祐 吉川 左紀子
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.194-203, 2011
被引用文献数
1 1

日本の農村社会において技術指導ならびに関係者間のコーディネート業務を行っている普及指導員の役割について検討した.近畿の普及指導員が回答した調査から,関連機関や農業者同士の連携など,コーディネートに関わる普及活動が地域の問題を改善している可能性が示唆された.また,コーディネートに関わる感情経験ならびに普及指導員の間の知識・技術伝達についても検討したところ,地域住民同士の信頼関係が業務内で普及指導員の感じるポジティブ感情を高めること,さらには対人的スキルのある普及指導員が評価され,そうした先輩の存在が普及活動にポジティブな効果をもたらすことが明らかにされた.日本の農村社会において,人をつなぐ役割の効果と,普及指導員の持つスキルについての考察を行った.
著者
中村 文子 佐藤 弥 吉川 左紀子 松村 道一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.470, pp.7-12, 2002-11-14

近年、いくつかの研究から、視線方向の知覚によって喚起されるような自動的な注意シフトが、シンボルやジェスチャーによっても喚起されるという知見が報告されている。しかし、報告例は少なく実験手続きも統一されていないため、明確な結論は出されていない。今回我々は、視線・シンボル・ジェスチャーを手がかりとする3つの手がかりパラダイム実験を行い、この問題を検討した。手がかりは画面中央にランダムに呈示され、被験者はその後手がかりの左右いずれかに出現するターデットの位置をボタン押しで反応した。その結果、被験者は手がかりが確率的に有効でないことを認識していたにもかかわらず、それらが示す方向へターゲットが呈示された時、異なる方向に呈示された場合に比べ反応時間が有意に短縮された。実験1・2からは、いずれの手がかりによっても、課題遂行の促進が早い段階で起こり、復帰抑制は起こらないことが示された。また実験3からは、手がかり方向へ被験者の注意が移動していることが確かめられた。全ての実験において、質的交互作用は示されなかった。これより、視線・シンボル・ジェスチャー方向が、いずれも知覚者の注意を自動的にシフトさせると結論できる。
著者
吉川 左紀子 NORASAKKUNKIT V. NORASAKKUNKIT V NORASAKKUNKIT Vinai
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009 (Released:2009-04-01)

昨年度は、ひきこもりの家族関係の役割とメンタルヘルスの状態を調査するためにニート、ひきこもり、そして京都大学の学生を対象に質問紙データの収集を行った。ひきこもりと京都大学の学生のデータには彼等の両親のデータも含まれていた。このデータとそれに関連する調査結果は2010年6月29日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究会にて口頭発表、2010年12月18日に行われた京都大学こころの未来研究センター研究報告会2010にてポスター発表を行った。それに加えて、影響力のある査読付き論文集であるJournal of Social Issuesのグローバライゼーションにおける心理学という特別号にニートにおける動機づけのパターンに関する研究についての論文を執筆した。また、収集したデータについて3つの国際学会、7つの国内での会合、5つの招待講演において発表した。現在は、ニートの日本の標準の行動パターンからの逸脱傾向における文化価値の役割について追従、帰属、そして社会的サポートからの知見を検討する実験の準備中である。また、現在社会的不安に関して京都大学こころの未来研究センター内田由紀子准教授と、ミシガン大学心理学部北山忍教授と論文を共同執筆し、その論文はJournal of Cross-Cultural Psychologyに掲載されることが決まっている。