- 著者
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原田 佑規
箱田 裕司
黒木 大一朗
- 出版者
- 日本認知心理学会
- 雑誌
- 日本認知心理学会発表論文集
- 巻号頁・発行日
- vol.2013, pp.150, 2013
強盗等の犯人が凶器を握っていた場合,犯人の顔や衣服に関する目撃者の記憶成績は低下する。この現象は凶器注目効果と呼ばれており,その生起機序については凶器に対する目撃者の(a)注視パターンや(b)有効視野の縮小が関与していると主張されてきた。本実験の目的は,凶器に対する(a)注視時間と(b)有効視野の大きさを測定し,凶器注目効果に関する実証的な根拠を提供することであった。参加者がキーを押すと,凶器刺激か統制刺激が呈示され,その消失直後に参加者の注視点の周辺に数字が呈示された。参加者の課題はこの数字を正しく検出し,同定することであった。実験の結果,参加者の注視時間は,凶器刺激と統制刺激の間で有意差がなかった。一方,数字の同定成績は,凶器刺激を目撃している時のほうが統制刺激よりも有意に低かった。これらの結果は,注視パターンでなく,有効視野の縮小が凶器注目効果の生起へ関与していることを示唆する。