著者
佐藤 将
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

1.研究目的と分析方法<br>これまで都心部での地価の高さから郊外部に住居を構える子育て世帯が多かったが,バブル経済の崩壊以降は都心近郊に居住する子育て世帯が多くなり,居住選択の多様化がみられるようになった.このように住宅すごろくが変化する中でこれまでの進学・就職時点での居住地選択の研究に加え,子どもを出産した時点での居住地選択を把握する必要もでてきた.報告者はこれまで出生順位ごとの子どもの出産時点での居住地分析から子育て世帯のライフコースごとの居住地動向の把握に努めたが,全体での把握に過ぎず,さらに属性を分解して分析を進める必要が出てきた. そこで本発表では首都圏の対象は特別区に通勤・通学するする人の割合が常住人口の1.5パーセント以上である市町村とこの基準に適合した市町村によって囲まれている市町村とし,その上で0歳児全体を分母とした子どもを出産した時点での核家族世帯数を出生順位別かつ子育て世帯を専業主婦世帯と共働き世帯に分けて市区町村ごとに分析し,居住地選択の地域差について検討した.<br>2.分析結果<br>第1子出産時点の居住地分布について専業主婦世帯では都心中心部で低い一方,特別区周辺の市区において高いことがわかった(図1).共働き世帯では都心中心部で高く,さらに中央線,南武線,東急東横線沿線地域においても高いことがわかった(図2).第2子出産時点の居住地分布について専業主婦世帯では第1子の専業主婦世帯で高かった地域に隣接した地域において高く,共働き世帯では都内および郊外周縁部において高いことがわかった.<br>3.まとめ<br>分析結果を踏まえて出生順位ごとの居住地選択選好の特徴を考察する.第1子出産直後の専業主婦世帯は久喜市,茅ケ崎市と都心から距離がある地域でも高いことから子育て環境を重視した居住地選択をしているといえる.一方,共働き世帯は都心または都心アクセスの容易な沿線が高いことから,交通の利便性,都心への近さを重視した居住地選択をしているといえる.第2子出産直後の専業主婦世帯は第1子と比較して居住地選択が類似あるいは隣接地であることから第1子を出産直後から居住またはより良い住宅環境を求め,近隣から引っ越してきた世帯が多い地域であるといえる.共働き世帯は都心,郊外周縁部ともに職住近接を要因とした居住地選択をしているといえる. このように専業主婦世帯と共働き世帯にわけて居住地選択を見ることで子育て世帯の地域ごとの特徴をつかむことができた.

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